ギリシアのホテルで「クロース」って言われて門前払いされたけど、休業でも満室でもなかった
1991年4月6日
列車でアテネからピルゴス経由でオリンピアへ向かうつもりだったのだけど、乗り換え損ねてカラマタという駅に着いた。
原因は経費と荷物を削減する為にヨーロッパ鉄道時刻表を二人で一冊しか買わなかった事と、「出発前に眺めて楽しみたいから私に預からせて」と言って我が家にあった時刻表を持って帰って出国の時に忘れてきた友人のうっかり。
アテネ駅のわかりやすい場所に掲示してあった時刻表だと、途中で乗り換えなきゃいけないのがわからなかったんだよ~っ。多分、どこかにもっと詳しい時刻表もあったんじゃないかと思うけど。
カラマタはペロポネソス半島の北半分を一周する線路から南に延びた支線の終点らしい。もう午後だし、駅の時刻表を見ると数時間以内に発車する列車もない。予定外だけどここで一泊していこう、という事になった。
あまり高くなさそうなホテルを見つけて入ってみると受付は無人。カウンターに置いてあったベルを鳴らして待つ。と、奥から出てきたお兄さんにいきなり「クロース」と言われてしまった。
クロースってclosedの事? え? 今日休みなの? それとも満室?
きょとんとしている間にお兄さんは奥へ引っ込んでしまう。
気を取り直してツーリストインフォメーションへ。
対応してくれたのは英語が話せないおじさんで、ここでも「ホテル? クロース」と言われてしまった。
え? 町中のホテルが閉まっているとか、そんな事あるの? と思いながら、駅に戻って再度時刻表を確認する。
ピルゴスに行ける列車は深夜着しかない。真夜中に宿の予約もなく見知らぬ街に降り立つとか、女子二人には危なすぎる。
で、パトラのユースホステルは二十四時間受付OKとガイドブックにあったのを思い出した。ピルゴスで降りずにその列車に乗り続ければ、夜中の二時にパトラに到着する。今日もパトラのユースが二十四時間受け付けているという保証はないし、満室の可能性もあるけれど、パトラまで行ってみようか? と相談している時にさっきとは別のホテルの看板が目についた。
いつもの宿よりかなり高そうな感じで普段なら敬遠するんだけど、安全第一だ。
中に入ると高級感のある間接照明のロビーに品の良さそうなおじさん。
ツインルームに空きがあった。万歳! しかも一泊三千ドラクマだという。
え、ここって思ったより高級じゃなかったのかな? と思いつつ、宿泊をお願いすると、おじさんに呼ばれて出てきたお兄さんに、部屋ではなく外へ案内された。え? どういう事?
連れていかれたのは、さっき「クロース」って言われた宿。
どうやら私たちの服装からこのホテル向きの客じゃないと判断されて、同系列の格下ホテルを紹介されたらしい。本来お休みだけど、泊まる所がないとかわいそう、上級職の判断でゴリ押ししてくれたのかな。とその時は思ったんだけど、どうやら違った。
「クロース」は昼休憩中なので受付できない、という意味だったらしい。という事はツーリストインフォメーションもか。
「三時まで休憩中だから後でまた来て」とか、言って欲しかった。ギリシア語通じない相手に説明するのが面倒だったんだろうけど、時計の文字盤指さして身振り手振りとか、方法あるよね?
なんにせよ、散財せずに宿に泊まれて良かったけど。
当時1ドラクマ90銭はしない感じかな。両替した日によっては82銭くらいの事も。




