42話 ドライア山
デートの翌日、ウヴァルから報せがあった。
「どうやら、隣山に神王がいるみたいだ。
ワレの勘がそう言っている!」
との事。
悪魔の勘なんだから凄いに違いない
その事を伝えに、今日は玲二さんの家(仮)に来ていた。
「そうか、隣山なぁ……」
「なんだか浮かない顔してますけど、何かマズイんですか?」
ちなみに俺は玲二さんへのタメ口が慣れなさすぎて敬語に戻っていた。
「隣山は火竜の塒になってるらしくて、人が滅多に寄り付かないんだ。」
なるほど、道理で神王の情報が無い訳だ。
「あれ?だったらウヴァルが火竜の魔力を検知しただけ説ありますよね。」
「どうだろうな、可能性は五分五分と言った所か。」
実際に聞いてみるか。
「いでよ、ウヴァル!」
ゴォン!!!
暴風と共にウヴァルが召喚される。
最近知ったのだが、ウヴァルは俺と契約しているから召喚獣扱いなのだとか……
「何用だ暁斗よ。」
ニッコリしてコチラを見るウヴァルと、
とんでもない目でコチラを凝視している玲二さん
ごめんなさい……
「隣山って火竜の塒らしいんだけど、火竜と間違えたとかじゃないのか?」
「うむ、明確に火竜とは違うオーラを感じるのだ。」
オーラか……
俺には分からないがウヴァルが言うならそうなんだろう。
「分かった、ありがとなウヴァル」
「困った時はいつでも呼ぶがいい!」
そう言ってウヴァルは影に消えていった。
「おい暁斗!アイツを呼ぶ時は一声掛けろって言っただろ!」
「ごめんなさい、次は気をつけます……。」
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翌朝
俺たちは村の入口にいた。
早速、隣山に向かうのだ。隣山の名前はドライア山。
かなり近いらしく、半日で着くとか。
「短かった旅館暮らしもオワカレね。」
夜城さんが黄昏ている。朝日で美しく見えるな。
「また来ればいいじゃん、別にいつでも来れるでしょ?」
妹よ、野暮な事を言うな……
「いつでも来れるけど旅館暮らしは無理だろうな。ドラギア様のサービスだから今回だけだろ。」
「はぁ、もっとチヤホヤされたかった……」
玲二さんは心底どんよりした顔をしてる
まぁあれだけ持て囃されてたら名残惜しいだろうな
「私も美味しいご飯が名残惜しいかな。」
アリスも悲しそうな顔をしている。
俺が養わなければ……
「別れは悲しい事だけではないさ、新しい未来へ進む為の道標になるのだ!」
そしてウヴァル。呼んでないが何故か来ていた。
そして何故か4本腕。
魔王前線で戦った時と同じ感じになっていた。
「ねぇ、ウヴァル、なんで腕生やしてんの?」
光が軽々しく聞く。
玲二さんはちょっと怯えてるぞ。
「ドライア山には火竜がいるからな、ワレも戦うつもりよ。」
ウヴァルが戦ってくれるなら安心だな。
魔王幹部の腕を切り落とせる悪魔が仲間とか最強だろ。
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昼過ぎ
俺たちは火竜から逃げていた。
「ちょっとウヴァル!どうにかして!」
「フハハハ!無理を言うな小娘!あのデカさは予想外だ!」
そう、めっちゃくちゃデカイのだ。
玲二さん曰くこの山は魔力濃度が異常らしく、火竜が突然変異したらしい。
「このまま逃げても埒が明かない!二手に分かれるぞ!」
「ちょっと待て!俺の体力が限界だ!」
大真面目な顔で何言ってんだ玲二!?
「ごめん!アタシも正直限界かも!」
夜城さんも!?
くそ、どうすれば!
「ん?そう言えば魔術師の小僧は転移魔法が使えるのではなかったか?」
「そうだけど走りながらは無理だ!」
「ふん、そう言う事なら早く言え!足止め程度ならワレに任せろ!」
ウヴァルが急ブレーキ&体を反らして大ジャンプ。
火竜を目掛けて大剣を振るった。
「グァァァァァァァ!!!」
火竜のとんでもない悲鳴が森全体に響き渡る。
「どこに転移させる!?」
「この山の山頂とか出来ないんですか?」
アリスが聞く。
「ここから離れすぎだ!それに1度行った事が無い場所は時間が掛かる!」
そうなのか。それは初耳だ。
関心してる場合じゃないけどな!
「なら来た道を1キロ戻る事は!?」
そろそろ限界そうなウヴァルが聞く。
「それなら行ける!」
素早く玲二さんが魔法陣を展開する。
「ウヴァル!早く来い!」
だが次の瞬間、ウヴァルが火竜に跳ね飛ばされて俺たちの反対側に吹っ飛ぶ。
「ウヴァル!?」
あの巨体を跳ね除ける火竜ってなんだよ!
「ワレは呼ばれたらどこでも飛んでいける!
お前らだけで行け!」
忘れてた、そう言えばそうだ。
悪魔だからあんまり召喚獣って感じがしないんだよな。
「じゃあ転移させるぞ……!」
玲二さんが転移魔法を使用しようとすると……
「その必要は無い。」
ズドォン!!!
当たり一帯を"炎″が包む
目を開けると、真っ二つに割れた火竜が横たわっていた。
「……は?」
全員が放心状態の中、玲二さんが辺りを見渡す。
「姿が見えない……!」
その一言で全員が警戒態勢に入る。
「只者じゃない……!」
すると、森に再び声が響き渡った。
「まぁまぁ、そんなに警戒するなよ。
俺に逢いに来たんだろ?」
逢いに……?って事は神王!?
いや待て……、なんだこの違和感?
どこか聞いた事のある声な気が……、
森に風が吹き、その男が姿を現す。
「久しぶりだな、暁斗、光。」
「兄貴……?」
そこには、炎を纏った兄が立っていた。
お兄ちゃん!?!?




