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徒然メシ  作者: 友好キゲン
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夏祭りのシャーピン


ドンッドンッドンッ

カカカッカッ

ドンッドンッドドンッ


胸に響く太鼓の音と祭囃子が気分を上げる夏祭り。祭りでは多くの人々が浴衣や甚平を身に纏い、太鼓と唄に合わせて舞い踊る。

そこには日々の疲れも吹き飛んだように、皆が笑い、踊り、祭りを堪能するのだ。

そんな俺も、今日は甚平を着て夏祭りの場に足を運んでいた。やはりここは都会とはまた別の落ち着く賑やかさが良い。


それはそれとして…


皆は祭りと言ったらどんな食べ物を想像するだろう?

焼きそば、たこ焼き、いか焼き、かき氷、わたあめ、ベビーカステラ…色々思いつくだろう。

俺はというと…シャーピンだ。


俺の住む街の近くでやる祭りには、シャーピンの屋台が必ずと言って良いほどある。

シャーピンというのは、簡単に言うと、おやきの中華版みたいな物だ。いや、おやきがシャーピンの日本版なのか?

まあ別にどっちでもいいか。

ただ、日本のおやきと違って、シャーピンの中の餡はひき肉やニラが混ざった、謂わば餃子みたいな餡だ。しかも餃子や肉まんとは違い、餡にとろみがある。生地を鉄板で焼くことで出る物なのか、それとも餡自体にとろみがあるのかは分からないが、このとろみのおかげで長い時間アツアツを楽しめるのだ。


屋台ではお姉さんが鉄板でシャーピンを焼いていた。ここのシャーピンは焼いたものを置いておくのではなく、焼きたてを提供してくれる。

「シャーピン1個、食べ歩き用でお願いします。」

そう注文して500円払う。するとお姉さんは焼きたてのシャーピンを、それがちょうど入るくらいの大きさの包み紙に入れて渡してくれる。

貰ってすぐ包み越しに伝わるシャーピンの熱に心が踊る。俺はその心のまま、店を離れ食べられそうなスペースに行って腰を下ろした。


腰を下ろしてひと息ついたら、早速、一口齧り付く。サクッと、もちっとした食感の生地の中から、餡の肉汁が暴発する。小籠包に入っているスープとは違い、肉汁が溢れるというより迸ると言った方が正しいかもしれない。

餡には胡椒が利いていて、肉の脂にアクセントを与えてくれて、脂身が旨味へと変わっていく。

「熱ッ!!?」

稀に迸る肉汁が甚平を掻い潜り、素肌に着弾したのか胸元を火傷することがある。今回はその稀なケースに当たってしまったようだ。だが、これも祭りで食べるシャーピンの醍醐味だ。



夏の暑い日に熱々のものを食べるのに抵抗がある人もいるだろう。

だが夏祭りの時は別だ。祭りというイベントは料理に最高のスパイスを与えてくれる。それ故に、普段熱いものを食すのに抵抗があるこの季節でも、祭りでは美味しく頂けてしまうのだ。これがきっと、「外ご飯効果」というものなのかもしれないな。

そう感じながら、俺はまた一口、シャーピンに齧り付くのだった。



祭りの音を聞きながら、シャーピンを楽しむのもまたオツなものだと思います。

とろみのあるジューシーな餡ともちもちの生地の組み合わせがまた格別で…

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