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徒然メシ  作者: 友好キゲン
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闘う男の味方、焼きそばパン

夏の真っ只中、肌が焼けるような暑さが始まるこの季節、皆さんはどうお過ごしですか?

空調がきいた部屋でのんびり?それとも、日焼け対策をしながら外出?山や海へ行って大自然を肌で感じる?

何であれ、それはきっと皆さんにとって良いものなのでしょう。

俺ですか?俺は…


『赤組、速い!白組も頑張ってください!』

「そこだ!そこでスパートをかけろーー!!」

「いけー!カーブで差を埋めろーー!!」

『白組、赤組、教員組と並びました!これはどんな展開になるんでしょうか!?』


…体育祭の真っ最中でございます。

俺の学校は校庭が狭いからか、毎年学校から電車でちょっと移動したところにある運動場をお借りして、そこで体育祭を行う。

俺の高校は赤組、白組の他に教員組という組が存在する。教員組がいる理由は、その方が生徒達の闘志や気合いが高まり、より白熱した試合を繰り広げられるからだ。


「はあ〜……暑い…」


夏真っ只中で、項垂れるような炎天下の中、体育祭は行われる。

陸上選手が使うようなトラックと、そのトラックの中に芝生があるような環境の中、俺たち高校生に日差しを遮る物は何もない。

故に、白熱した場面では、競技をしている者より観戦している側の方が熱かったりする。


「これだけ暑かったら、鉄板があれば焼きそば作れそうだよな。野菜だけなら半生でも食えるし…」


皆が熱を込めた声援を送る中、暑さ故に頭が沸騰しかけているのか、それともただボーッとしているだけか、そんなくだらないことを呟いていた。


『続いての競技は高校二年による、徒競走…』


アナウンスが響く、次は俺たちの出番だと告げられる。

俺はこの暑さですっかり温くなった麦茶を喉に流し込み、甘ったるい塩飴を口に含んで、この白熱した戦いに挑んでいった。



◆◇◆◇◆



『これより、お昼休憩に入ります。』


お天道様がてっぺんまで登った頃、『昼休憩』のアナウンスにより、俺たちの闘いは一時休戦。昼食によるエネルギー補充の時間になった。午後も正々堂々、真っ向勝負を挑み合うためだ。


俺たちは運動場を出て、各自で昼食を買い、戻ってから飯を食う。

運動場から少し歩いたところには駅がある為、その周辺にはコンビニの他にパン屋や弁当屋、ファストフード店なんかもある。生徒…いや戦士には有難い話だ。


俺は駅の近くにあるパン屋に寄った。

早速店に入る。

「おおっ、涼しいな」

店内は空調がきいているため涼しく、炎天下の中、日陰もない戦場で競う俺にはオアシスのように感じた。そしてそのオアシスには良い匂いを漂わせるパン達が優雅に寛いでいた。

パン達は皆、ふくよかで、豊満で、若き男に人気のパンばかり。

その中で俺は焼きそばパンに目をつけた。コッペパンにこれでもかと乗せられた焼きそば、そしてそれから漂うソースの香りが理性を破壊し、食欲をかき立てる。

何より、塩気の強い物を体が求めていたのだ。

気付けば俺は、トレイに焼きそばパンを3つ乗せていた。そして、レジに出して、焼きそばパンの入った袋を持ってオアシスを脱け出し、再び戦場へと赴くのだった。



運動場に着き、自販機で冷たい麦茶を買ってから会場に戻る。

早速、袋から焼きそばパンを取り出し封を開ける。

「いただきます」

まずは一口頬張る。焼きそばにコーティングされた濃いめのソースが舌を伝って身体に染み渡る。そして焼きそばを挟む柔らかいコッペパンのほんのり感じる甘さが、ソースの酸味と塩気を更に引き立ててくれる。そして口いっぱいに頬張ったことで生まれる幸福感に満たされる。

その一口を最大限に味わい、飲み込んだところで、すかさず冷えた麦茶を流し込む。

この暑さで火照った体を芯から冷やしながら、麦茶の香りと苦味が焼きそばのソースを流し、再び焼きそばパンを堪能できる状態にしてくれる。

そうしたらまた焼きそばパンを頬張る…完璧な半永久機関の完成だ。

俺はこの機関を昼休憩の間堪能し、休戦後の闘いのために英気を養うのであった。


焼きそばパンのしょっぱさは夏にはご馳走。

汗で失った塩分が体に染み込んでくる感覚はなんとも言えないんですよね〜。そこに冷たい麦茶…炎天下でこの食事はパーフェクトですよ。

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