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徒然メシ  作者: 友好キゲン
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メロンパンの定義


─── メロンパンとは何を指すのだろう?


パン屋でトレイを片手にそんな哲学に近いことを考えていた。

何故なら、そのパン屋のメロンパンにはこう書かれていたからだ。


『メロンパン

メロンの果汁がたっぷり入ったピューレを使って焼き上げました。』


…と。

確かにメロンパンなのだからメロンが入っていてもおかしくはない。

だが俺の頭はそれを受け入れてくれない。

俺の中でメロンパンとは、「メロンの形もしくは模様を模した、メロンが入っていない菓子パン」だからだ。

かき氷のシロップのように、果汁は入っていないがメロンの色や形としての要素がある…それが本当のメロンパンなのではないだろうか。


とすると、今俺の前にあるメロンパンは何だ?

メロンを模すどころか、メロンが入ってしまっている。

これでは「メロンパン」のようで「メロンパン」ではない。「メロン」パンだ。

俺が求めているものではない。

が、時代が変われば定義の幅も広がる。もしかしたら幼少の頃とは違い、今はこういうパンも「メロンパン」と呼ぶのだろうか。


俺はそんなことを考えながら、トングでメロンパンを掴みトレイに乗せてレジへと向かっていった。


「結局買ってしまった…」


紙袋から「メロン」パンを取り出し一口齧る。

皮からメロン特有の香りと甘さを感じて、美味しい。美味しいんだけど…


「これじゃないんだよな…」


今はもう絶滅危惧種の如く少なくなってしまった、「メロンパン」に思いを馳せながら、また一口齧る。俺の知っているメロンパンはどこへ行けば逢えるのだろうか。


皆さんが思うメロンパンは、メロンが入っているものですか?それとも…


メロン無きメロンパンが徐々に減り、メロン入りパンが増えていく時代。昔好きだった女性が都会へ行って変わってしまったかのような、そんな感覚に苛まれながら今日もあのメロンパンを捜します。

待っててね、メロンパン。

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