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徒然メシ  作者: 友好キゲン
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四季と麺

3月になり、徐々に暖かくなってきた今日この頃。

寒い冬から暖かい春に変われば、徒然に思い浮かぶメシも変わる。

特に変わるのはラーメンだ。春はあけぼの…のように春、夏、秋、冬、それぞれの季節に美味い食材とそれに合うベースがあると俺は思う。

古文が苦手な俺ではあるが、少し筆を走らせてみよう。



春はキャベツと味噌。

ようよう甘くなりゆく芯と葉。味噌と絡めて、塩気際立つ甘味に、緑と茶の対比。


夏は鶏と塩。

運動の後は、さらなり。猛暑もなお。

食欲不振であっても一口啜れば、一口二口、気付けば空になるのも魅力なり。

帆立と合わせるも、旨し。


秋はきのこと醤油。

残暑も過ぎて涼しく、実りが近くなりたる時に、山や木の茸を採るとて、三つ四つ、採り集めること、あはれなり。

まいて、椎茸などを干したりて、味わい増すは、いと旨し。

山の旨み、醤油の香り、それに絡む麺は、えも言われぬ美味さなり。


冬は煮玉子と豚骨。

雪の降りたる()は、いふべきにもあらず。寒き風が吹く日にも。

また雪景色の中、雪と重なる白き汁を飲めば、体火照るも、またあはれなり。

孵りし玉子の色深き暮れの色は、雪どけの日をともしむ。



…うん、やはり慣れないことはするものじゃないな。意味が伝わるかも分からない。

古文は伝わらなければ理解できない。そう思って、俺はその紙を折り畳み、引き出しの奥にしまう。


「正義〜、ご飯できたよ〜!」


「はーい、今行くー!」


今日のお昼は、春キャベツとひき肉が入った味噌ラーメン。筆を走らせている時からほんのり漂っていた味噌に期待を膨らませ、俺は自室を後にした。

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