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徒然メシ  作者: 友好キゲン
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炭水化物大集合、エジプトのソウルフード!

日本を含め世界には「炭水化物×炭水化物」の組み合わせで美味い物が数多く存在する。

餅とうどんを掛け合わせた「力うどん」、

ハンバーガーにチーズマカロニに合わせた「マッケンチーズバーガー」、

インスタント麺を使ったサラダをもち米と一緒に食べる「ヤムママー」などがそうだ。


日本でも関西に行けば、炭水化物同士の美味しい組み合わせを熟知した人達が沢山居るだろう。それほど、炭水化物同士の組み合わせは美味しいという証明になる。


そういう俺もその組み合わせを知っている人の1人だ。故に今日はとあるエジプト料理が食べられる店に来ていた。


え?関西の話をしていたのだから、食べるのは関西の料理じゃないのか…って?

確かに関西には炭水化物同士の組み合わせは多くある。でも、このエジプト料理には関西人すら感服する炭水化物オンパレードな料理が存在するのだ。

その名も「コシャリ」。


この料理は豆、米、パスタ、マカロニの4つの炭水化物を使った究極の炭水化物メシにして、エジプトのソウルフードだ。

なんでも、エジプトは気候の変化が激しくて、そこで生活する為に大量のエネルギーを一気に補給する必要があるとか…そういう理由があってこの炭水化物メシが爆誕したらしい。



今日は偶然にもそのコシャリが食べられる店の近くで用事があったので、用事を済ませた後にその店に入ることにした。

日本でコシャリを食べられる機会は中々ないので、こうやって近くを寄った時は懐に余裕があれば食べに行く。

食べ盛り、育ち盛りな学生にとって、コシャリは最高の食事だからね。


「さて、今日はどのコシャリにしようか…。」


メニューを見て悩む。

この店は色々な種類のコシャリがあり、どれを食べるか迷ってしまう。

スタンダードなコシャリは勿論、エジプトの肉料理「コフタ」やクレオパトラが食べたと言われるモロヘイヤが乗ったエジプトにありそうなコシャリ……他にも、担々や唐揚げなどエジプトには無いであろうトッピングがされている異国コラボコシャリなんかもある。

そして迷いに迷った結果…


─── 今日はスタンダードなコシャリを味わおう。


…そう思い、スタンダードなコシャリを頼む。

前に一度、何を食べるか迷った挙句、トッピングありの物を選んでしまったからだ。

トッピングに手を出せるほど、ありのままのコシャリを味わってもいないというのに。

…というわけがあって、俺はスタンダードの物を頼んだ。


しばらく待っていると、お待ちかねのコシャリが来る。

深めの器にご飯、レンズ豆とひよこ豆、小さく切られたパスタとマカロニ…と、炭水化物のオンパレード。そしてその上にはサックサクのフライドオニオンが振り掛けられていた。

それとは別に出された小さなお椀にはトマトベースのソースが注がれている。これを全部掛けて混ぜて食べるのがコシャリの食べ方だ。

そもそもコシャリとはエジプト語で「混ぜる」という意味。それを従わずにソースと別々に食べるというのは、コシャリを食すことにおいてマナー違反だろう。


「いただきます。」


俺はそのコシャリのルールに従って、トマトのソースを掛けて、よく混ぜてからスプーンで掬い一口いただく。

日本のお米を使ったのか、米はふっくらとした仕上がり。そして短く切られたパスタとマカロニのもっちりとした食感に、堅めに炊かれてしっかりと食感が残った食べ応えのある豆、フライドオニオンのサクサク感、そして炭水化物たちを優しく包み込むほんのり酸っぱいトマトソース……これらが渾然一体となり、得も言われぬ様々な音と味わいが口の中に響く。

そして、このお店が出すお冷、もといミント水がこの響きをすっきりさせ、またこの味と食感の響きを楽しむ機会を与えてくれる。


これだけ炭水化物の軍勢が口の中に流れてくるというのに、肉や魚が使われていないおかげか、まったくしつこくない。更にトマトがその炭水化物たちのボリューム感を感じなくさせてくれて、食欲がない人でも食べられそうだ。



半分くらい食べたら備え付けの「ダッア」や「シャッタ」なるソースを掛ける。

「ダッア」とは、酢やレモンなどを使った酸味のあるソースで、さっぱりとした酸味がクセになる。夏場や残暑なんかでも、こいつをかければガツガツ食えるくらいにさっぱりとした味わいにしてくれる。

この「ダッア」なるソースは、本場であるエジプトの方々はドバドバ掛けて食べるのだとか…。確かに、エジプトって熱いイメージがあるし、このさっぱり感は最高だろうな。


「シャッタ」は、唐辛子が効いたピリッと辛いソースだ。辛いと言ってもサルサソースくらいの辛さだ。しかもコシャリのトマトソースが辛さをまろやかにしてくれるので、実際はほんの少し辛い程度だ。

だが、その少しの辛さがまた良いアクセントになってくれる。舌だけでなく食欲まで刺激してくれているみたいで、コシャリを口に運ぶ手が止まらなくなる。


気付けば、あっという間に完食していたようで、皿には米一粒も残っていなかった。

炭水化物の軍勢も、刺激された食欲の前ではご馳走だったようだ。


「ご馳走様でした。」


そう言って、俺は代金を払って店を出る。

代金は600円くらいと、学生にとっても手が届きやすい値段なのが、コシャリの良いところの一つだ。

次この店に来る時は、何かトッピングをしよう。

コフタをトッピングで頼んでみようかな?あそこには牛や羊のほかにラクダのコフタなんかもあるみたいだし。ラクダの肉…どんな味がするんだろう?


…なんて、次この店に食べに行ったことを考えながら帰路につくのだった。

エジプトではコシャリのお店がいっぱいあるみたいで、それも店ごとに味が全然違うのだとか…。

日本もラーメン屋みたいにコシャリ屋をいっぱいオープンしてくれないかな…コシャリブームみたいなのが起こることを祈ります。

キゲンさん、コシャリ大好物なので…。

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