表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十章 可愛いだけじゃないですけど?
93/220

92

 さて、もう一人の候補者……フォルティス様が戻ったらしい。

 いや帰省してたんだからこっちに戻ったって言い方は語弊があるか……? あっちが故郷なワケだし。


 なんで帰省したのかはわからないけど、でっかい絆創膏を貼って戻ってきた彼を見て早速第五妃のカレン様がぶっ倒れたって話はもう城内で知らない人がいないんじゃないかってくらいの大騒ぎになった。


 これまでフォルティス様が不在だったので交流する機会が他の候補者よりも少ないということが考慮されて、しばらくの間は週二回フォルティス様と一緒に過ごすよう父様からも言われてるんだけど……その騒動の翌日が久しぶりの再会って大丈夫なのか?


(まあ倒れたのはカレン様であって、フォルティス様が悪いわけじゃないし……でも居心地悪かったりしないかなあ)


 できる限り静かな場所がいいかなと思って、今回は皇族しか入れない庭を指定してみたんだけど……。

 それはそれで迷惑だっただろうか。うーん。


「皇女殿下、お待たせして申し訳ない」


「あっ……いえ、今日はお時間をとっていただきありがとうございます!」


 約束の時間より早く来たのは私だしね!


 それにしても、十五歳とは思えない貫禄があるんだよなあフォルティス様……。

 黒髪に浅黒い肌、薄い水色の目。そして、ぴぃんと立ったウサギ耳のこのギャップ萌えよ……。


(ああ、あれかあ)


 そして頬に貼られたでっかい絆創膏。

 私の視線に気づいたフォルティス様がジッと私を見て、絆創膏に手を添えた。


「気になりますか」


「えっ……あー……その、少し」


「正直な方だ。……これは帰省中に国王陛下自ら稽古をつけてくださった際に未熟ゆえついた傷です」


「まあ。獣人の王国スペルビアの王と言えば屈強な獅子の獣人で、最強と噂の?」


「そうです。俺に取っては祖父にあたります」


 祖父なのに最強ってとんでもねえおじいちゃんだな!?

 会ったことがないからわからないけど、アル兄様に言わせるととっても威厳があってカレン様が怖がっているそうだ。


 幸い、スペルビアの王はアル兄様みたいに先祖返りでも怖がったり嫌がる素振りはなかったそうだけど……。


(ただ、魔法使いなのが気に食わないって言われたんだっけ?)


 根っからの脳筋一族だってパル兄様はそう評価してたな。

 じゃあフォルティス様に帰省を促したのも、帝国で稽古を怠けていないかチェックするためのものだったりするのかしら?


「……もしよろしければ、私が治癒の魔法をかけてもいいでしょうか?」


「治癒の魔法を? 殿下が?」


「はい。といっても、あまり強いものではないので……気休め程度にしかならないんですけど」


「……しかし、殿下に醜いものを見せるのは少し躊躇われるというか」


「あ、それは大丈夫です! カルカラ兄様の訓練でお手伝いをさせていただくこともあるので!!」


 そのおかげで割と剣による切り傷や、その他打撲、擦り傷なんて見慣れてるからバッチこいだぜ!!

 さすがに骨が見えるような外傷や骨折となると痛みを和らげる程度しか効果がないんだけど……それでも五年前にもらった魔国の技術による魔道具のおかげでそれなりに騎士たちからは好評なんだよね。


 兄様たちに言わせると末っ子皇女が癒やしてくれたっていうだけで付加価値があるんだそうだ。

 そんなもんに付加価値見出されてもなんか嬉しくないなあ……。


 とにかく、私が引かないとわかったのだろうフォルティス様は深いため息をつくと勢いよく絆創膏に手をかけて一気に引っぺがしたのだ。


「フォ、フォルティス様!? 痛くありませんか!」


「この程度はなんてことありません。……どうすればよろしいですか。貴女の前に跪けばよろしいでしょうか」


「あ、いえ……あの、椅子に座っていただけると」


 うさ耳のイケメン騎士を跪かせるとか私の中で別の扉が開いちゃいそうなんで止めていただきたいです。切実に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ