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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第九章 ツンの底には…?
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 あの後様子を見てわかったこと。

 

 カトリーナ様は父様が大好きだった。

 大陸一の大国の皇帝だからとか、そういう理由ではなさそうな感じで媚び媚びだった。

 父様の容姿を褒め、今日もカッコイイ素敵だと賛辞の言葉を並べ、隣に座れる栄誉がなんちゃら~と続いていた。


 最初は皇帝に媚びて正妃の座を狙う……とかそういうドラマ的なことを考えたんだけど、カトリーナ様の目がね。もうね。


(あれは恋する乙女だった……!)


 パル兄様もきっとわかってて手の施しようがないと思っているに違いない。

 兄様、そういうのは放り出すタイプだから。


 ただ……なんていうかあの人、私が言うのもなんだけど血筋とか出自とかそういうことを誇るけど他に功績があるわけじゃなく、自慢できる切り札が少ないみたいで……延々と同じ話を繰り返すばかりになっていたなあ。


 ある意味で可愛いけど、受け取りようによっては鬱陶しいって思われかねないんじゃないかなって思った。

 父様は父様で多分それはわかってるけど、カトリーナ様を妻として尊重はしているけど他の妃と平等に大切にするって態度は崩していない。

 ある意味で……残酷だけど、きちんと向き合っているなって思った。


(皇帝の結婚、か)


 父様は妃たちの中で、誰かを特別に想ったことがあるのだろうか?

 あったとしても、きっとそれを表には出さないのだろうなとそう感じた。


 で、もう一つ。

 父様が引き受けてくれた上、ため息付きだったけど『子供たちの茶会は子供たちだけでするべきだ』という言葉をいただいたのでピエタス様との時間を確保することができた。


 ピエタス様とのお茶会についてきたカトリーナ様の目的は私が推察するに三つ。

 一つは、当然だけれどヴェイトス側にせっつかれて私とピエタス様を婚約させるため。

 一つは、父様に溺愛されている皇女に立場をわからせて自分が上だと教え込むため。


 そして多分最後に。

 私を通じて父様に会う機会を狙っていたってこと……!!


(そこまで……!?)


 後で知った話なんだけど、いやこれは後宮云々に関わる話なので多感な少女にはちょっとお聞かせできないよ! って判断なだけでね? 後で教わる予定だったんだけどね?

 まあ耳年増っていうかなんていうか……その、父様も妃様たちも若いわけでしょ。

 だから子供は妃の体を慮って一人って定めていても、まあ父様は後宮にお通いになるわけで……それも平等に。


 皇帝って大変。

 でもそうすると、第一から第六まで妃がいるから単純計算で週一。

 日中特別なお仕事が割り振られている妃たちは忙しいけれど、第二、第五、第六のお妃様たちは……お仕事が、ないのだ。


 第五、第六の妃たちは属国の姫として嫁がされて(・・・・・)引きこもったけど、第二妃カトリーナ様は『尊き我が身は皇帝の寵愛を受けることこそ仕事!』って嫁いで来たその日に言ってしまったのでそれ以来そういう扱いなのだという。


 いろんな意味で残念な人なんだなあ……でもなんでだろう、憎めないタイプだ。


「……カ、カトリーナ様は決して恐ろしい方ではありません。裏表のない、素直な方なんです……」


「……そうなんですね」


 ピエタス様と二人でようやくできた茶会で、あれこれ教えてくれた彼がそうカトリーナ様をフォローする姿に私はなんとも言えない気持ちになるのだった。


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