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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第九章 ツンの底には…?
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 婚約者候補と関係を築くためには間に割り込んでくるカトリーナ様をなんとかしなくちゃならない。

 そのためには、父様が必要だとパル兄様は言う。


(……って言ってもどうしろと……)


 詳しいことはなんも教えてくれなかったけど、とにかく父様を呼べばカトリーナ様はなんとかなるし二人の架け橋になってやれ的なことだけ言われた。

 もう少し! もう少し具体的にお願いします!!


「聞いているの? まったくこれだから……」


 今日も今日とてピエタス様とのお時間のはずなのに、カトリーナ様が同伴して独壇場となっているお茶会。

 ちょっとしたことでカトリーナ様が不機嫌になるから私とピエタス様は聞き手に徹するしかできず、周囲の侍女たちも私たちに大人しくしていてくれと視線で訴えてきているのがなんともね……。


 割と苦痛だ。


(……宰相を通じて父様がこの庭を通るようお願いしておいたけど、そんなんで本当に上手く行くのかなあ)


 父様のご機嫌とり要員として今も時折執務室に呼ばれる私。

 だから宰相は『何かあったらいつでもご相談を!』って言ってくれているので、遠慮なしに今回のことを相談した。


「まったく、貴方のような小娘が陛下の執務室に出入りできて何故わたくしがそれを許されないのかこれっぽっちも理解できませんわ! わたくしは第二妃ですのよ、ねえ、聞いているのピエタス!」


「は、はい! カトリーナ様はこの国の第二妃様です!」


「ええ、ええ、そうよ。わたくしは尊き立場で、誰よりも美しく本来であれば正妃に相応しかったというのに……嫁いだ順が二番目だったと言うだけで……!」


 ギリィって音が聞こえてきそうだ。怖い。


 ちなみに正妃様、つまり第一妃で皇后はただ順番の問題で決まったわけじゃない。

 国は違えど同じ人族の国の王女っていう立場がそう言わせているのか、対抗心なのかは知らないけど……残念ながら皇后様の国の方がヴェイトスよりも国力が上だったってだけの話。

 

 それをカトリーナ様だって知らないはずはない……んだけど、どうにも諦めが悪いというか、自分の方が上じゃないと気が済まないのか。

 こうしてお茶会についてきては私が父様の執務室に呼ばれるのも気に入らないし、自分がどれだけ上の立場の人間なのか延々と言ってくるし、返事が遅れるとイライラするしで我々子供はとても辛いです、はい。


(……こういう大人にだけはなるまい)


 反面教師ってやつだな!

 そっと誤魔化すように紅茶を飲むと、ちょうど同じタイミングで紅茶を飲んでいるピエタス様と視線が合う。


 そして何故だかお互いにへらっと笑ってしまって、ああこれは『お互い大変ですねえ』って共感だ……! と不思議と感動してしまった。

 いやだな、婚約者候補と最初に感じる共感が面倒な上司を前に苦労を分かち合う感覚だなんて……!!


「ちょっと! 聞いているの!?」


 カトリーナ様が乱暴にカップを置いた。

 やっべ、聞いてなかった……と思った私は彼女の向こう側に人を見つけてギクリとする。


「……なんの騒ぎだ」


 だってそこには、魔王……もとい眉間に皺を寄せた父様がいたからだ。

 来てほしいとは思ってた。思ってました。


 だけど、多分……いや、間違いなく!

 タイミングが悪いよお父様!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] パル兄様は母親の性悪さをポジティブに受け継いだこと、ニアちゃんはパル母を悪役にするくらい朝飯前なんだけど実行する前に父兄達が、ね。 [気になる点] 父様はどこから聞いてたのかな? 溺愛愛娘…
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