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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第七章 婚約者選びは波乱の予感
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 シアニル兄様からの後押しを受けて、私はオルクス兄様、パル兄様、それからアル兄様を頼ってお妃様たちの意向と、婚約者たちのことを聞いた。

 意外だったのは、一番最初に情報を得たのがアル兄様だってことだ。


 アル兄様は相変わらず紙袋めいた仮面を被っていることが殆どで、接する相手も最低限って感じの生活を続けている。

 私や他の兄弟と一緒の時には最近外すようになったけどね。


「フォルティスは僕にとっても従弟だし、母が面倒をかけてすまないと話しかけたら案外乗ってきてくれたんだよ」


「そうなの?」


「うん」


 第五妃カノン様は猫の獣人なんだけど、テトとは違う臆病な性格の人である。

 まあ性格なんて個人差だからね!

 獣種が何かってのが問題じゃないのだよ。


 で、聞いたところによると属国である獣人の国『スペルビア』は代々国王は大型の獣種であるらしく、王家に生まれる人間は殆どが肉食の大型獣種なんだとか。

 親の獣種がそのまま子に引き継がれるわけではない不思議な世界なので、必ずってわけじゃないらしい。

 まあスペルビアの王女だったカノン様は猫だしね。


 ちなみにカノン様はものすごく華奢な美女らしいのだが、私はそのお顔を見たことがない。

 だってフェイスベールを常時被っているんだもん!

 初めて婚約者候補を連れてお茶会の席に現れた時にはビビって椅子から落ちるかと思ったわ。

 さすがに二度目以降はビビらなかったけどさ……。


 親子揃って被り物ってやっぱりアル兄様と親子なんだなって思った。

 いや、彼らは彼らで事情があって顔を隠しているので趣味とか嗜好の問題じゃないって叱られそうだから口には出しませんでしたけどね!?


 まあそれはともかくとして。

 とにかく、カノン様の父親、つまりスペルビアの現国王は獅子の獣人。

 アル兄様と候補のフォルティス様にとって祖父にあたる人らしいのだけど、とにかく『強い獣種』であることが誇りらしい。


「だからどんなに剣の腕が優れていようと、頭脳が優れていようと、フォルティスが『ウサギ』であることがネックみたいでね……」


「あー……」


 そうなのだ。

 フォルティス様は私の目から見て『カッコイイ男の子』なんだけどウサギの獣人なのだ!

 真っ直ぐにピンと伸びたお耳が可愛いのにキリッとしてはっきり言って十五歳にして凜々しい系美男子なのだ!

 それに加えて鍛えてるって服の上からわかる体格。なんか頼れる男になるなって感じ。

 肌の色は浅黒く、髪もうさ耳も黒なのに瞳の色だけが白に近い水色で、それがすっごく綺麗なのだ。


 お茶会の際はほぼカノン様がフォルティス様を選んでほしいっていう懇願に時間を費やされるので、本人と会話したことは挨拶程度しかないんだよね……。

 まあカノン様も決して多弁な方ではないので、おそらくは彼自身も寡黙なタイプだと思う。


 ちなみにカノン様はあれだ、間が持たなくてとにかく喋らなきゃ! みたいなタイプ。

 必死にフォルティス様は有望だ、アル兄様とも親戚のままで付き合える、属国との絆がどーたらこーたらをループで話している。

 その間も候補の彼は顔色一つ変えず、じっとティーカップの中を見つめているのが若干怖い。


(……私と結婚とか、そんな将来のこと考えられるんだろうか)


 なんせいくら私が美少女に成長したとはいえ、まだ十歳だしな。

 前世の感覚で言っても論外だし、いきなりそういう(・・・・)目で見ろって言われてもできるもんじゃないだろうし……。


「まあ属国との関係強化って意味で考えれば悪くない話なんだろうね。属国の王家に連なる者が二世代に渡り帝国に嫁げばスペルビアは帝国の庇護を強く受けられる」


「うーん……」


「母上には書簡を渡して、今後はフォルティスとヴィルジニアの茶会には僕が橋渡しするって告げておいたから今度は彼とゆっくり話してみるといいよ」


「……ありがとう、兄様」


 それはそれで会話が成り立つのか心配だな!

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