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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第六章 小さな姫の大冒険

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「……やっぱり魔国に行くんだ」


「うん。母さんを治すには、それしかないってアル=ニア様も仰ってた」


「そう……」


 クラリス様はユベールのお母さんが見つかったって聞いて、涙をボロボロ流して喜んで、そして眠り続ける彼女を見て『自分たちのせいだ』とまた泣いていた。

 弟の恋人としてよりも、夫の大事な妹であり自分の義妹として想っているって感じだったかな。


『弟が! 安易に手出しなんかせずに!! 相談してくれてたらああア!! あの馬鹿ぶちのめす!!』


 って言ってたので魔国での姉弟喧嘩の行く末が気になるところ。

 なんか一方的にぶちのめされそうだよね、会ったことないけどユベールのお父さんファイト。


 アル兄様や他の人と、ウェールス様も加わってユベールのお母さんの容態を確認したけど……やっぱり命に関わるほどの魔力となると、帝国での治癒は厳しいって話だった。

 だから魔国に帰るんだけど、さすがに今日明日ってのは無理だから、数日かけて準備を調えているところだ。


 ユベールも、魔国に行く。

 それはまあ当然だと思う。

 あちらのクラリス様の弟……つまりユベールのお父さんだけど、行方不明だった恋人が見つかっただけじゃなくて実は自分に子供がいたって知ったら会いたいと思うかも知れないでしょう?

 目が覚めたユベールのお母さんが、果たして王妃という重責を受け入れてくれるのかとか……止まっていた時間分を受け入れられるのかとか、不安は尽きないけど。

 でもまずは治療が必要で、そしてユベールも自分の力について学ぶべきなのだと思う。


「ユベールも、魔法使いになるのかな」


「……わからないよ」


 ずっと一緒にいたシエル。

 ユベールになってこうしておしゃべりをするようになって、私よりも五歳年上のお兄ちゃん(・・・・・)な彼はまだなんとなく違和感がある。

 でも私の間抜けなところを見たり、慰めてくれたあの優しい目線は変わらなくて、やっぱり同じ存在だってことはわかっている。


「……寂しくなるなあ」


「もう部屋の中ででっかい独り言なんてしちゃだめだよ」


「しないよ!」


「泣きたくなったら、どのお兄さんでもいいから頼ってあげなよ。喜ぶから」


「……うん」


「もう俺は慰めてあげられないからさ。まあ、元々フクロウの姿じゃないなら……許されることじゃないんだけど」


 そりゃそうだ。

 なんたって、私は皇女様だからね。


 適切な距離ってもんがあるのくらい、私だってわかってる。

 わかってるけど、寂しいなって……思った。


 この世界に来て、初めて『お別れ』するんだなって、気づいた。気づいてしまった。

 ずっとずっと傍にいてくれたシエル(・・・)が、私の傍からいなくなる。

 ペットだったら覚悟してたけど、そういうのとは違って……私が傍にいてもう、守る必要はなくて。


(私は、必要ない?)


 違う。

 そういうんじゃない。

 そういうんじゃないってわかっているのに、胸がぎゅうっと痛んだ。


「……もう、お部屋戻るね」


「うん。……おやすみ、アリアノット姫様」


 ユベールが、私の名前を呼ぶことに違和感があったけど。

 でも私は、どうにかして笑顔を見せた。


 彼の記憶に残るのは、笑顔がいいって思ったから。 

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