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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第一章 父は皇帝、私は皇女
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5

 兄についての質問ができて、個人的な容姿とかその辺についてはまた後日、とシズエ先生に言われてしまった。

 どうやら幼女にいっぺんに言ってもわからないだろうという気遣いのようだ。


 ぐぬぬ。

 とはいえ、ここで食い下がると幼女としては確かにおかしいし、それで妙に頭のいい子だとか勘違いされたら目も当てられない。

 確かに幼女としては頭がいいだろうが、元の中身がなんなのか自分でわかっているから過剰な期待を寄せられると困ってしまうのだ。


(でもできたら他のお妃様の情報とかも知りたかったなあ)


 とりあえずわかっているのは、父親が皇帝であること。

 魔法がある世界で、大陸で一番大きな国であること。

 人種には複数あり特性がそれぞれ違うこと。

 エルフとか獣人って聞いた時にはちょっぴりテンションが上がったが、それは内緒だ。


「んん~……」


 それはさておき、ペットか……一体何がいいかなあ。

 憧れだったのは猫だ、でも犬も捨てがたい。

 とはいえ私に甘い父とはいえ、爪や牙を持つ動物を許してくれるだろうか?

 ウサギ? いや案外蹴られると痛いって同級生が言ってたな。

 となると何がある? 蛇? うーんできたらあったかいやつがいいな。

 蛇も嫌いじゃないけど。つやつやして綺麗だよね。


 日課のお散歩をしながら悩んでみるものの、果たしてこの世界に猫や犬がいるのか? までに至ってしまった。

 いやいると思うんだよ。護衛の騎士が獣人だった時になんの獣か教えてくれたからおおまかな獣種はあると思うんだよ。


 でもこう、トイプードルがいいとかシバがいいとかは選べないっていうか、ペットとは……? みたいな感じで頭がぐるぐるしてしまったのだ。


「んえ」


 ふと、生け垣の中に何か色合いの違うものを見つける。

 埋もれている感じだが、どうやらちょうど一緒にいるデリアには見えないらしい。

 そしてデリアよりも背の高い護衛騎士のグノーシスにも。

 ちなみに私の護衛騎士は四人いて、二人交代で来ているようだ。

 デリアいわく『強い人』らしく、一応きちんとご挨拶をしてくれたのは三歳になってすぐだったんだけど……このグノーシスは熊の獣人らしく少し丸っこい耳が頭のてっぺんにある、とても背の高い人でおおらかで優しいお兄さんだ。

 私の護衛騎士のリーダーなんだってさ。


「姫?」


「グノーシス、そこに何かいるの」


「……お下がりを」


「うーん」


「姫」


 でもなあ、気になるんだもの。

 大人の言うことは大半は聞いた方がいいってわかっちゃいるのだが、私も転生してからどうにも好奇心が抑えられない時があって……今がまさにそうだ。


 一生懸命垣根を覗いてみると、鳥のようではないか。


「とりさん!」


「……気を失っているようですね。怪我をしているようですが」


「大変! 手当てしなくちゃ、デリア!」


「だめですよ」


「……デリア」


「……だ、だめですよ」


「デリア……だめ……?」


「……うっ……」


 粘り勝ち。

 美幼女の上目使いおねだり! 今のところはこれが効く。

 まあ父が怖いだけかもしれないけど。


 ため息を吐いたグノーシスが手を突っ込んで引き上げたのは、丸っこいフクロウのような鳥だった。

 気を失っているらしくぐったりしている。


「怪我は……?」


「パッと見、なさそうですが……見たことのない種類ですね。誰かの飼いフクロウか? だが足に所持の輪がないな」


 綺麗なベージュ色の羽には所々葉っぱが刺さっていて、なんだか哀れな姿だ。

 少しでも取り払ってあげようと私が手を伸ばし、頭のところにある葉を取ったところパチリとそのフクロウと視線が合った。


「……く、くるっぽう?」


 その鳴き声は鳩だと思うんだが、どうだろうか。

次回は12時のお昼更新だよ!

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