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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十二章 三つ巴ならぬ四つ巴、いや五つ巴?

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 現状、私が〝真に神様に認められた聖女であること〟によって、神殿各所からご挨拶(・・・)に来る人が増えた。

 よしよし、この調子で発言権を強めて、私の目標とする各地にある孤児院に対しての待遇制度をだな……ってまあそんなすぐにどうこうはできないんだけども。


 まだまだ私も十才だし?

 長期的な計画でやっていけば、みんなの認識も変えていけるわけだし?


 ノープランだなんて言えない。

 いや、臨機応変なだけだから!


「毎日毎日ご挨拶ご挨拶って……」


 私は一人しかいないので、しんどいんだけど!?

 父様ってすごいなあ、毎日こうやって謁見に時間を取られているの理解できたわ……一人一人にちゃんと対応してるのかあ。

 皇帝って面倒くさいお仕事だね……!


 いやまあ全部叶えているわけじゃないけど、大事な話もあるかもしれないし、ヒントになることもあるかもしれないと思うとつい誰かに丸投げってわけにもいかないなって……。


「そのあたりの取捨選択についてもニアは学んでいかねばなるまいな。正式な発表の後、披露目のパーティーを行えば今後は神殿関係者のみならず貴族たちもそなたと面会を望むであろう」


「そんなあ……」


 ただでさえ神官さんたちが日参するものだから、個人的な時間がなかなか取れなくてソレイユと遊ぶ時間も足りないのに!

 ぐにゅう。


「お披露目のパーティーはしなくちゃダメ……?」


「ああ、だめだな。そなたの望みを叶えるためにも必要なことだ」


「うう……」


「着飾ったニアはさぞ可愛らしかろうな! 今から楽しみだ」


 父様はとても楽しそうだけど、私は今からげんなりだ。

 神殿の偉い人たちを地方ごとに覚え、貴族たちの顔と名前を一致させるとか……。


 みんなどうやってんだろうか?


「そういう部分を補助するために婚約者候補たちがいるのだ。存分に使い倒せ」


 カラカラと笑う父様。

 ううーん……婚約者ってそういうものだっけ?

 いや、お互いを助け合うって意味ではそうなのかも……?


「エスコートってどうしたらいいの?」


 普通、パーティーではエスコートってものがある。

 私はこれまであまり公の場に出る際は〝子供扱い〟だったため、特にエスコートとかを気にしないで良かった。

 兄様たちの誰かがいてくれたしね。


 でも兄様たちだって婚約者がいるのだし、いつまでも甘えてはいられないのだ。

 特に婚約者候補が四名もいるのだから。


「全員を付き従わせて入れば良かろう」


「わあ……」


 周囲の目が怖いなあ。

 美少年四人を引き連れた美少女、確かに絵になるけども。


(私ったら美少女で聖女なのに、それでも存在感が弱いってどういうこと……!?)


 みんなが濃すぎるんだよなあ!

 想像しただけで自分が霞むわ……このイケメンどもめ!! ありがとう!!


 でもまあ、頑張るってメディーテー様にも約束したし。


「さ、ニアよ。そろそろドレスを作る話をしに行くのだろう? 余もついていこうか」


「陛下はお仕事がございますので。大丈夫でございますよ、第四皇子殿下が同席なさるとのことで、きっと素晴らしいドレスができましょう」


 侍従さんがさらっと父様を連れて行く。

 不満そうだけど、芸術家として名高いシアニル兄様がいるなら……って感じなのかな。


 私としてはなんかとんでもないドレス作られないか不安だけどね!?

 シアニル兄様はどうしても興味とか勢いがついちゃうと止まらないタイプだからなア……。


「よし、がんばろっと」

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