表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十二章 三つ巴ならぬ四つ巴、いや五つ巴?
218/220

214

「ソレイユ~!!」


「キュ~ゥ!」


「あーんごめんね寂しかったよねー!」


 私が駆けよって抱きしめると、ソレイユは嬉しそうにパタパタと羽と尻尾の両方を揺らした。

 んんん、可愛い。


 どうやら父様たちとの話し合いの間、ランスとは上手く折り合いをつけてくれたらしい。

 室内で暴れた様子もないし、サルトス様もユベールも、それからエルヴェもケガをした様子もないし……。

 

 ソレイユもランスもいいこ!


「それでね、アリアノット姫」


「あ、はい。なんでしょうサルトス様」


「ランスはこの通り大きな犬型の魔獣だろう? アリアノット姫のペットだとわかるように首輪がいると思うんだ」


「……ああ……」


 うん、そうよね。

 このお城だけでもかなりの広さが合って、人が入れ替わり立ち替わり……日々変動している。

 そんな中でランスがいくらいい子でも、誤解されることだってあるかもしれない。


 でも首輪とか、目立つ何かがあって、それが私と繋がるなら危険は減る。

 王城内で魔獣がいるからって、いきなり攻撃する人はさすがにいないだろうけど……ちょっとでもお互いのためを思うなら必要な措置だ。


「それで、ランスだけに与えるとソレイユが拗ねる」


「キュッ!」


「お前が先輩だろうとそのさらに先輩は俺だけど?」


「ちょっとユベール、何張り合ってるの……」


 ペットの座を巡って争わないでくれる!?

 おかしいな……ユベールって私の婚約者候補なんだけどな。

 当たり前のようにソレイユと張り合うの止めてもらってもいいんじゃなかろうか。


 それにしても首輪。首輪か……。


「あっ、そうだ。メイリェンは?」


「先程デリア先輩に認めてもらうため、ひめさまにおやつを作ってみせると張り切って厨房に行きましたよ」


「わあ……」


 自由だな。


 いや、一応溶け込もうとしているのは偉い。

 というかメイリェンはランスの世話係としてきたのに私のおやつを作るとはいったい……?


 まあそれはともかくとして今考えるべきは首輪。

 じーっとランスとソレイユを見つめる。

 ランスは犬種的にはワイマラナーっぽくてグレーみがかった体も、きりっとして筋肉質な感じもかっこいいんだよな……。

 ソレイユはやっぱりふわふわ羽毛もあって可愛いじゃない?


 そんな対極にあるソレイユとランスに似合う、かつ、私のペットだってわかる首輪……。

 

(ううん、何があるだろう?)


 ふと私の腕輪を見る。

 青緑色の不思議な色合いの石がはまったブレスレット。聖女の証。

 これに似たものが用意できたら私のペットだってわかりやすいんだろうか?


 見たことない石だからなあ……。

 似たのってあるのかしら。


「そうだ!」


「えっ、アリアノット姫?」


「ニア?」


「ひめさま、お供しますよ~」


 走り出した私にエルヴェがついてくる。

 サルトス様とユベールも慌てて私の後を追おうとしたけど、振り返って私は二人に待ってと手で合図する。


「二人はそのまま私の部屋で待っていて! すぐ戻るわ、オルクス兄様のところに行くだけだから!」


 オルクス兄様は博識だし、なんだったら精霊さんが似たようなものを知っているか、あるいは譲ってくれるか交渉を手伝ってくれるかもしれないからね!

 

 私も精霊さんたちと話せるけど、残念ながら兄様ほどしっかり協力してもらえないのが現実なので。

 やっぱりチートなしのちびっ子は自分の努力が必要なんですよ! とほほ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ