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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十二章 三つ巴ならぬ四つ巴、いや五つ巴?
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 帝国に戻ったらそれはもうお祭り騒ぎだった。

 いや、比喩表現じゃなくてね?

 帝都が『お帰りなさい皇女様!』『祝!聖女就任!』って横断幕があちこちに貼られてていきなり凱旋パレードだったわ。


 皇女らしく手を振って進みました。

 笑顔が引き攣ってなかったかが心配です。


 こういうことがあるなら事前に言ってよぉ……!!


 まあおそらくこれについては父様と兄様たちによる、本気でお祝いの気持ちにプラスアルファで『帝国は皇女の就任を祝っている』『皇女に手を出すことは許さない』って外に対して知らしめているんだろうけど……。


(いやほんと、帝都に入る前に目が覚めた時、寝癖とか付いて無くて良かった……!)


 馬車移動だとどうしても揺れるからやっぱり疲れちゃうし、そうでなくてもすることがないからね……ついつい寝ちゃうんだよね……。

 ランスが寄り添ってくれるとモフモフがモフモフで気持ちいいからさあ。

 モフモフ、モフモフ……。


 それに寝る子は育つって言うことわざを信じているからね!

 私は! まだ! 縦に伸びるよ!!


 まあそんな話はともかく、私は城に戻ってすぐ父様に謁見かと思いきや連れて行かれたのは浴室で、めっちゃ磨かれた。

 ああーこの感覚、久々ぁ!!

 一人でお風呂に入って簡素なワンピースに袖を通す、あの前世での生活を彷彿とさせた神殿生活の気楽さが……もう、懐かしぃい……。


 全身磨き上げられて、第七皇女ヴィルジニア=アリアノットとして復活した(?)状態で父様のところに行けば、挨拶もそこそこに抱きしめられてしまった。

 しかもかなり力強くて気が遠くなりそう。

 助け出してくれたヴェル兄様も同様だから笑えない。


 最終的にオルクス兄様が助けてくれて、アル兄様に介抱してもらいつつ私は今回のことを一通り説明する。


「医療の神、メディーテー様よりお言葉を賜りました。特別な力は持たずとも、志を持つ私のことを気に入ってくださったそうです」


「うむ、当然のことだな!」


「それで正式な聖女に就任となりましたが、ノックスの方々が注目しているようです」


「うむ、当然のことだな!」


「父様ったら真面目に聞いて!」


「何を言う、父は常にそなたの言葉に向き合っている」


 そういうことじゃないんだってば。

 ついつい私も父様の娘大好きってオーラに口元がによによしちゃうけどさあ!


 私はわざとらしい咳払いをして、同席している兄様たちの方へも視線を向ける。


「ノックスを支配している四つの組織、そのうちの〝(ロータス)〟と接触しました。彼らによると、同じく支配層の〝信仰(フィーダス)〟が聖女到来の噂を聞いておかしな動きを見せているとのことでした」


 (ロータス)は商業を、信仰(フィーダス)は医療をノックスの中で担当しているということも付け加えて、私は言葉を続ける。


(ロータス)は現状の均衡を維持できるならばそれでいいようで、信仰(フィーダス)次第ではノックスの勢力図が変わるかも知れません」


 それ以外の二つの組織? については私もよくわからない。

 エルヴェの所属する椿(カメリア)はそもそも、ノックスの支配権について興味がないっていうし……多分、その四つの勢力に取って代わりたい勢力がまた別にいて……ってややこしいなあ本当に。


 まあこの帝国の中でも皇室がトップにいるだけで、そこに取り入って自分たちの立場を強めたい貴族たちがこぞって争っている姿とそう変わらないっちゃ変わらないんだけども。


(人間って……)


 いやまあこれを切磋琢磨の一つと考えれば、人類の進化としては必要なこと……なのかな……?

 思わず遠い目をしてしまったけど、そういう哲学的なことを考えている場合ではなかった。


「とにかく今そんな感じです!」


 以上!!

 私の報告のまとめ方に、パル兄様が「うちの妹、時々バカになるのなんでだろうな……」って呟きが聞こえた気がするけど気にしないよ!!

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