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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十一章 聖女は清濁併せ呑むべし
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 メディーテー様がこのタイミングを狙ったかどうかは定かでないけれど、とにかく火の鳥ちゃんの登場により私の聖女就任はそれっぽい感じで認められた。

 まあ神様からの直接のお呼び出しを受けてのことだったし、ほぼ疑われる要素なんて無かったけどね。


 でも火の鳥ちゃんが来てくれて、神様から本を賜った私はここ数代の聖女たちよりもすごい(・・・)聖女のように神官さんたちの目には映ったようである。

 まあ傍目に見たらそうなるよね……!


 でも実際は『(本物の)寵児関連で迷惑かけちゃってごめんネ!』で招かれただけの一般人なんだよっていうのを第三者に理解してもらうのはかなり難しい話なんだよなあ。


(……この世界の常識で考えたら、寵児の傍にいたってだけでも特別感あるみたいだし。結局神様に〝招かれた〟って点や、異世界出身や、前世の記憶があるってことのどれもが神官さんたちにとって特別(・・)であることには違いないのにって思われるんだろうなあ)


 いやまあ実際、どれ一つとっても普通じゃないことは事実。

 だからといって私に特別な能力や知識があるわけではないってことも事実。

 

 ああなんて世知辛い!

 世の中って本当に上手くいかないなあ~!!


 その後、このヴァノ聖国の中にあるメディーテー様の神殿にいってなんだかよくわからない祝福を受けて、聖女就任おめでとうございますってメディーテー様の紋様の入った豪華なネックレスをもらった。

 今後は式典でつけてほしいらしい。


 質素倹約を旨としているはずなのに、こういうところよくわかんないなあ神殿!

 まあ目立つポイントがないと特別感演出が難しいのはわかる!


(問題はまだ子供な私がつけるとどうやってもネックレスの方がでかいってことよ……)


 いったいこれなんの素材でできているんだろう、すっごく重たいんだけど!?

 一個一個はとても繊細な鎖やら細工やらなんだけど、それを一つにまとめたデザインなもんだからこれがもう重たいのなんの……おっきな宝石の原石っぽいのまでついているもんだから、重さで私の重心が前にいってつんのめりそう。


 そこは皇女のプライドをもってすまし顔でがんばりましたけどもぉ!!


 その後はそのままヴァノ聖国に残る残らないでまた一悶着あったものの、無事に帝国へ戻る方向で話がまとまった。

 というか、まとめてもらった。


 主に頑張ってくれたのは伯父様と、そしてサルトス様、ピエタス様だったけど。

 サルトス様は笑顔で柔らかい物腰だけど神官さんたちの言葉に怯むことなく、上手に軌道修正していくんだよね。

 ピエタス様はそのサルトス様に知識の面で助けてくれて、二人のおかげで最終的に『皇帝が首を長くして待っているし、一度皇女は皇女の立場のままでと決めたことを一方的に覆せばそれは神々に対しても無礼だから』的な方向でまとまってくれたそうで……。


 どんな話し合いをしたらそうなるんだ……?

 ってちょっぴり思いつつも、私はノータッチでデリアにマッサージされていただけに何も言うまい……ありがとうみんな……。


 ちなみに帰りの馬車は私と大きなワンちゃん……お名前はランスにしたよ!

 鋭い牙がまるで騎士たちの持つ槍に似ていたからだよ!

 安直って言わない。


「まあ、なんだかんだ……上手くいったよねえ」


 馬車の中には、私とデリアとランスだけ。

 デリアがうたた寝を始めた様子を見て、遠くなる神殿群を見て、私はそっとため息をつく。


(今回もいろいろなことがあったなあ)


 メディーテー様からもらった本は、まだ中を見ていない。


 この本は神様が細工してくれたみたいで、他の誰かが触れてもケガをするようなことはないけど、決して開かないし壊れない……ってものだった。

 ユベールの鑑定魔法の結果がそう出たんだから、多分そう。


 ユベールの魔法はすごいんだから!

 私たちの中で一番詳細が出るんだよ! パル兄様やアル兄様にも負けないの。


 まあそれはさておき、そういう意味で奪われたり悪用されたり……ってことはなさそうなことだけは一安心。

 でもこれでより一層、私は〝皇女〟で〝聖女〟として価値が上がった分、危険は増えていくってことなのだと身を引き締める。


(でもきっと、危険が増えたよりもやれることはもっと増えているはずだ)


 目指せ歴史の教科書にのるような偉人!

 なーんてね!!

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