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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十一章 聖女は清濁併せ呑むべし

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 その後、フェイさんのところから戻った私たち。

 行きと違って帰ってきた人数が違うことに、グノーシスが眉間を押さえていたけど……ごめんね!

 なんか脳内で『拾ってきたところに返してらっしゃい!』って言ってるグノーシスママの幻影が見えたけどグノーシスはパパだもんね!?

 いやそれも違うな!?

 落ち着け私……!!


「え、ええとね……これは……えっと……えっと……」


「アリアノット様」


「こ、ここ、このワンちゃんを飼うからこっちの女の子は世話係でぇ……」


「アリアノット様、こちらを見てください」


「ひぃん……」


 それこそグノーシスは私が生まれてから今日までずうぅっと護衛として傍にいて、時には家族のように私の行動を叱る……まではいかず注意をしてくれたり、気にかけてくれる大事な人だ。


「ええと……これには複雑な状況が絡んでて、友好の証っていうかぁ……」


 どう説明するのが正しいのよ!?

 いや一切嘘は言っていないんだよ、かなり正確なところを話してはいるんだよ!


 全部を話すわけにはいかないっていうか、どっから話せばいいのかもう私にもわかんないってだけでさあ……。


「……エルヴェ」


 そんな私の反応にグノーシスは小さくため息を吐いて、視線をエルヴェに向けた。

 その眼差しは鋭い。


「危険は?」


「とりあえずないと思いますよ。最悪オレが対処します」


 キラキラ笑顔でそんなことを言っているけどその対処って絶対穏便なヤツじゃないよね……思わず口元がキュッてしちゃった。


「とにかく、ええと……私は一回神殿に戻って今回のあれこれをマルティレス司祭様に相談してこなくちゃいけないの。襲撃の他に問題は起きなかった?」


「は。襲撃者は残念ながら取り逃がしましたが……」


「ああ、うん……でもまた何があるかわからないから、周辺の警備を強化してもらえる? おそらく近日中に城に戻るだろうから、その警備態勢や道についてもグノーシスに任せるわ」


「承知いたしました」


 心の中の自分の両頬を張る。

 そう、いろいろといっぺんに起こりすぎて、正直気持ちの整理がついていない。


 姉が愛し子で、私はオマケ(・・・)で……可哀想だったから、この世界に来て。

 神様たちが精一杯幸せになれますようにって思ってくれただけなのに、今やこんな状態で。


 いや決して不幸ではないけどね!

 なんも能力ないのに結局神様お墨付きの聖女になったとか今後についてどうしようかとか、信仰(フィーダス)って謎の異端者軍団(?)の存在とか!


(ああそうかあ、ワンちゃんの名前も考えなくちゃいけないし彼女の名前も聞いてなかったなあ……)


 私、ただ平和にできることをこなしつつ、幸せな結婚をして家庭を築きたいなと願っていただけなんだけどなあ。

 それがすっごく遠いだなんて、思わなかったなあ……へへっ。


 皇女としてなんとか笑顔を浮かべつつ、歩く私の傍らを、大きなワンちゃんがそっと寄り添ってくれた。


 きみ、優しい子だねえ……。

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