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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十一章 聖女は清濁併せ呑むべし
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 おじいちゃん商人、フェイ。

 ノクスを運営する四つの組織の内、商業を得手とする〝(ロータス)〟の長。

 見た感じは怪しげなところはなくて、もし町中で見かけたらただのおじいちゃんって感じだ。


 それも、割と無害そうに見えるってのがポイントね!

 私みたいな善良な子供はあっさりと騙されちゃうよ、ほんと……前世で『初対面の人に対する第一印象は外見で決まる』とか言うけど、何も知らないでこのおじいちゃんと対面していたら私は〝気のよさそうなおじいさん〟って思っちゃっていたはず。


 おそらく向こうもそういう理論だとかは知らなくても経験上そうしているんだろうな。


(エルヴェやみんながいなかったらどうなっていたことやら)


 それから注意を促してくれた、メディーテー様にも心の中で感謝しておく。

 こういうのは日々感謝しておく、その気持ちが大事だからね。


「さ、さ、皇女殿下も皆様も、好きなだけお召し上がりください。皆様に喜んでいただけるよう心ばかりのもてなしを用意させていただきましたのでなあ」


(心ばかり……ねえ)


 正直、珍しい料理だなという印象はある。

 なんて言うか、前世の中国料理に似ている……けど、なんか違うな? って感じの。

 少なくとも帝国の料理とは違う感じ。


 でもどれもこれもいい匂いがしているし、材料も……多分、いいものを使っている。


(ここまで来て毒を使うってことはないと思うけど)


 チラリと視線を向ければ、エルヴェが頷いて私の前にあったメインの大きな豚の丸焼きに手を伸ばし、切り取った。


「どうぞ、ひめさま!」


(そこは毒味をする流れじゃないんかーい!)


 思わず心の中で突っ込みつつ、私は笑顔でエルヴェから皿を受け取った。

 こうやって渡してくるってことは、やはり私の予想通り毒は入っていないってことなんだろう。


 味はとっても美味しい。

 皮はパリッと香ばしく、お肉はジューシーで香辛料がいい塩梅に効いている。


「美味しい」


 思わず零した声に、フェイさんが目を細めて笑った。

 そしてフェイさんも今度は海老料理に手を伸ばし、自分の皿に取る。


 フェイさんの後ろには屈強なスキンヘッドの大男が二人、護衛だろうか?

 護衛以外の何者でもない感じなんだけど……なんかその片方の人がこっちに視線だけめっちゃ向けてくるの気になるんだよな~~~~~~。


(見てる……絶対見てる……!)


 なんですか美味しく料理いただいてますよ!?

 マナーは……ちゃんとしていると思うんだけどな!?


「皇女殿下、お味はいかがですかな?」


「とても美味しいわ」


 フェイさんに話かけられて、私はにっこり答える。

 嘘や誤魔化しをしないで済む答えってすっごく気が楽だよね!!


 とはいえ、外交や交渉といった場では何気ない会話も罠となりうるからその心づもりでいろってヴェル兄様やオルクス兄様から教わっているので気を引き締める。


 私の場合は幼いことと容姿が可愛い点を大いに利用するために、可愛い笑みを常に浮かべることも大事だって言われた。

 皇族として余裕な態度、それを崩さず可愛い少女であることも忘れずに。

 なかなか難しい注文だけど、今はやるっきゃない。

 

 さあ私、シアニル兄様の〝私可愛いブートキャンプ〟を思い出すんだ!!

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― 新着の感想 ―
“私可愛いブートキャンプ”で笑ってしまいましたwww なにやらせてんの、兄様wwwwww
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