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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十章 花は花でも……
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「エルヴェ! 無事だったんだね!!」


 登場の仕方はともかくとして、元気そうなエルヴェに私は正直ホッとした。

 

 だって強いって頭では理解しているけど、一人で戻らせちゃったこともあってやっぱり心配だったんだもの。

 実力者だって聞いてはいても実際に目にしたことはないし……。


 いやまあ、父様が太鼓判を押して私の専属執事として置くくらいだからね。

 その実力を疑ってはいないよ!


「お前どこから飛んできたんだ……」


「下の掃除を済ませてからひめさまのところに戻るのに、山登りも面倒だなあと思って身体強化使って飛ぼうと思ったんですよ~」


 フォルティス様の呆れた表情にも笑顔で返すエルヴェ。

 言っていることがもうなんかすごくてまるで理解できない!


 えっ、身体強化って空を飛べたっけ……?


「た、多分、し、身体強化を極限までた、高めたら、水の上も走れるそう、なので……そ、その理屈? で、宙を蹴る、のを言っている……んじゃないかなって」


「なる、ほど……?」


 怪訝な表情をしていたらしい私をピエタス様がフォローしてくれたけど、なるほどわからん!


 いやもうわかる必要はないか……あれがエルヴェだって思っておこ……。


 なんだか悟りを開いたような気持ちになる私をよそに、エルヴェは踏み潰していた相手を容赦なく蹴り飛ばしつつ軽い足取りでこちらに寄ってきた。

 にっこにこ笑顔である。


「ひ・め・さ・ま~! ひめさまのエルヴェ、ただいま戻りました~! ちゃあんと任務は達成しましたよ」


「あ、うん。みんな無事なのね?」


「獣人族の騎士たちはピンピンしてますとも。誘拐されかかった神官については気を失ってはいますけど、五体満足です。(ロータス)の連中が主流のようでしたが、他の勢力もチラホラ混じっていたみたいですねぇ」


「そ、そうなの……?」


「まあおおまかにどこの連中かわかった上で、その中の派閥まで知りたかったんでちょっと手間取っちゃいましたが……もうちょっと婚約者候補の皆様が頑張れると思っていたんですけど、そこは読み違えちゃいましたねー」


 くすくすっと笑うエルヴェは目を細めて四人を見渡した。

 それから刺客たちを見て、フンと小さく鼻を鳴らしたかと思うと急に真顔になったではないか。


 えっ、コワぁ。


 そして私にだけ聞こえる程度の小さな声で、低く呟く。


「まあ奴ら相手に毒を喰らってないみたいだし、かすり傷程度でまだまだ元気そうなら温室育ちたちにしちゃよくできた方って思うべきか」


「エ、エルヴェ?」


「まあもうオレが来たからご安心をひめさま!」


 私に対して朗らかな笑みを見せるエルヴェ。

 

 だけど様子が物騒なんだよなあ!

 私の心配なんてやっぱり必要なかったね!!

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