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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二章 至急! 兄たちを籠絡せよ!!
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 というわけで、シズエ先生にも相談してみたところ、多くの魔法使いたちから話を聞かせてもらうのは良い刺激になるだろうと笑顔で言ってもらえた。

 そんなこんなでアル兄様にもそのことをお手紙で書いて相談したら、次来た時に兄様の魔法を見せてくれることになった。やったね!


 アル兄様は魔法を使った道具の研究がメインだけど、行使する魔法として得意なのは結界や状態異常系なんだってさ。

 それは攻撃魔法とは何が違うんだ? って思ったがまあ違うらしい。

 その辺りの線引きが難しいな……私からしてみると状態異常をかけている段階で相手に攻撃をしているような気がするんだけど……。

 だって異常を感じさせるんだぞ?


 この世界、不思議に満ちている。


「あっ、ヴィルジニア……ッ」


 そうしてシエルを連れてアル兄様のお部屋に行こうとしたら、アル兄様が廊下にいるではないか。

 あ、もちろんシエルは私が持てるサイズではないし乗っかられたら押しつぶされそうなので今日の護衛であるグノーシスに籠ごと持ってもらっている。


 アル兄様は例の箱みたいな被り物をして私の方に慌てて歩み寄ってくるではないか。


「アル兄様? どうしたの? ご都合悪い?」


「いや、そうじゃなくて。でも、今日は――」


それ(・・)が末の妹か。成程、幼い」


 慌てて私に何かを告げようとするアル兄様の声に被るようにして、酷く冷たい声が上から聞こえた。

 屈んだアル兄様が私を庇うように抱きしめる。

 その手は、少し震えているではないか。


 私はアル兄様を見て、そしてその声の主を見上げる。


 薄い水色の、長いストレートヘア。

 そして同じ色彩の、切れ長の目。


 表情の乏しい美人が、そこに立っている。

 でも多分男性で、そして、私の兄だ。


「わたしの名前はオルクス=オーランド。お前の、兄だ」


「初めましてお兄様。ヴィルジニア=アリアノットです」


 どうしてアル兄様は震えているのだろうか。

 オルクス=オーランド兄様は弟妹に興味がないと言っていたけど、それでもヒドイ扱いはないと言っていたし……パル兄様も、兄様に会うだけなら特に問題ないって。


「では行くぞ」


「え?」


「ま、待って! オルクス兄上、お待ちください……!!」


「アル、お前はそこの護衛騎士と侍女、それからそのフクロウの世話を頼む」


「え、え?」


 アル兄様の腕からひょいと持ち上げられた私は、気づけばオルクス=オーランド兄様の腕の中。

 そして何故か当たり前のようにオルクス=オーランド兄様は私を抱えたまま歩き出したではないか。

 その上、デリアとグノーシス、シエルは置いてけぼりにしろと。


(いったいぜんたい、なにがおきたの!?)


 事態に追いつけない私だが、後ろからはグノーシスたちの抗議の声が聞こえた。

 それからシエルから聞いたことのないような声も出ていた。

 

 だけどオルクス=オーランド兄様はそれにチラリと一瞬だけ彼らに視線を向けたかと思うと、小さく何かを呟いたら私たちの前にモヤが出現する。


「案ずるな。兄上のところに連れて行くだけだ。帰りもきちんと送る」


 それだけ言うとオルクス=オーランド兄様はもう振り返ることもなく、そのモヤに足を踏み入れたのだった。


次回は12~15時の中で更新します(曖昧ですみません……)

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― 新着の感想 ―
[一言] もう、シズエ先生の本来の名前覚えてない…静江に引っ張られたかぁww
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