表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第一章 父は皇帝、私は皇女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/221

1

 転生したということを理解するのがおぎゃあと生まれてから一年かかった私だけれど、そこから更に二年が経過した。

 つまるところ私は今、三歳である。

 三歳ともなれば多少なりとも舌っ足らずになったりすることもあるが、それなりにおしゃべりだってできる。

 しかも脳内は一応前世のこともあってそれなりだ。


 まあ、これは転生者だからなのかどうなのかわからないし、生活の問題かもしれないんだけど記憶は薄れがちであるが……それはさておき、いろいろとここまででわかったことがある。


 まず私の名前はヴィルジニア=アリアノットというらしい。

 ヴィルジニアでもアリアノットでも正しい名前だ。

 一番目の名前である『ヴィルジニア』は洗礼名でこの国にとって重要な時に使う名前であり、家族や配偶者しか呼んではいけない名前。

 そしてこの二番目の『アリアノット』が一般的に呼ばれる名前なのだという。


 それが王侯貴族の一般常識。

 そう、王侯貴族。


 なんとね、この世界……異世界だったんですよ。

 それを理解するのに二年かかったんですよ!!


(魔法で物が飛んだり浮いたり火が点いたりするの見て脳内処理が追いつかなかったんだよね……)


 とっても驚きましたとも。

 で、私は名前が立派なように、親も立派だったのだ。

 おかげで専属侍女だの乳母だの護衛兵だの家庭教師だの……一人になることはない。

 誰が親かと見回したもんですよ。


「おお、ニア、余の可愛いニア!!」


「とうさま!」


 遠くを見ながらぼんやりとそんなことを考えていると、ひげ面のオッサンが入ってきて私を抱き上げる。

 上質な布で出来た衣服にがっちりとした体を包んだこのオッサンこそが私の父親である。

 なんとこの国……軍事国家レグタリア帝国の皇帝なのだ。


 そして私は末っ子の第七皇女。

 私の上には六人の兄たちがいる。しかも全員母親違い(・・・・)


 この国では男女関係なく上から順に第一皇子(皇女)と呼ぶらしく、私で七人目らしいのだ。わぁお、子だくさん!

 そんでね、母親違いの兄たちとは未だ会ったことがない。

 ついでに言うと私は実母に会ったこともない。


(いや、どうやら産後の肥立ちが悪くて……ってことらしいんだけどみんな気を遣って何も言わないんだよなあ)


 まあ幼女にお母さんは死んでしまったんだよとか説明してもわかんないだろうと思われているんだろう。


 ちなみに父は唯一の娘である私のことを溺愛している。

 若干、鬱陶しい。

 いや私が毒親に育てられたせいで親子の触れ合いってのがよくわかんないってのもあって、ひげもじゃのオッサンが頬ずりしてくるのとかが普通なのかがわかんないけど……でも、悪い気はしない。


 私付きの侍女であるデリアが他の侍女と話していたことを部分的に聞いた……つまり盗み聞きをしたところによると、どうやら父は皇帝として跡取りに恵まれまくったけど、全員が全員なんと父親似。

 それゆえにどーしても可愛い娘がほしかった。

 ってことでどんどこ妻を迎え、子を産んでもらった結果が七人目のお妃……つまり私の母親で成功したと。

 儚げ系美少女だったらしい母は十四で嫁いで来たらしいので、いろんな意味でキュッてなったね。ちなみに父は今四十三だって。


 まあすくなくとも夫婦仲はよさげだったようだし、この世界ではこの年齢差もオッケーなんだろう。多分。


(とりあえずは、そうだなあ)


 今世では、兄たちと仲良くなりたいな、と私は密かに思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 父親、父としても男としても帝としてもクズすなぁ… 女を産む道具どころか自分の欲しいおもちゃを作り出してくれる袋としてしか見ていない、国のために子孫を増やしてんじゃなくて単に自分の性癖、大人数…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ