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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十九章 神様、いました!
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 六人での登山はなんとも平和だった。

 神殿が登山禁止にしている山だし、時々祠の周辺を掃除に行くっつっても一年に一回とかそんなレベルだって言うから厳しい山道を想像してたんだよね。


 何せ神殿から見えていた山ってのが、自然豊かなほのぼのとした雰囲気じゃなくて岩や石がゴロゴロ転がっているタイプの山だったからさ……。

 とはいえ、植物が一切ないはげ山ってわけではなく、可愛い野草はいくつも道中見つけたもんである。


 その度にサルトス様が野草の種類について教えてくれるから退屈はしないよ!


(というか……)


 フォルティス様は騎士になるため鍛えていたから勿論体力がある。

 母国では山ごもりの修行もあったからこのくらいの山なら問題ないって。

 頼りになる~!

 

 同じくユベールも魔法と剣の両方を使うに当たり、鍛えている。魔法はものによっては体力が必要なんだってさ。

 むしろこの山は魔力に満ちているからとても楽って言われた。


 そしてサルトス様はもともとエルフ族として自然の中に生きることが当たり前だったので、むしろフィールドワークで生き生きしている感じ……!

 図鑑でしか見たことない植物に目がキラキラしていて可愛いよ……!!


「……皆さん、元気ですね……」


「うん、そうだね……」


 ピエタス様と私で、思わず笑ってしまった。

 体力的にはピエタス様の方があるっぽいけど、それでもユベールが魔法を使って補助してくれるおかげで今のところ誰も怪我をしていないし、疲れでふらつくこともなく順調である。


 適宜、エルヴェがどっからともなく水分とオヤツを取り出して私たちに渡してくれるけど……うん、待って。


「なんで執事服のままなわけ!?」


「ヒメサマの専属執事ですから~」


「わけわかんないんだけど!?」


 エルヴェはニコニコと私たちの後ろをついて歩く。

 もう突っ込みに疲れちゃったなあ……本当にもう、よくわかんないこの状況。


(……なんで神様は私たちを呼んだのかな。私だけじゃだめだった? いや、一人でこの山を登れって言われたらキツいのは確かなんだけど!)


 十歳の登山遠足よりは厳しい山だよ、これ!

 舗装もされてないし、補助具があるワケじゃないし、なによりドレスだし……。

 なんで神殿側もドレスなんか寄越してきたのやら。

 聖女だから……?


 いや待てよ、神官はシンプルなだけで男性も女性もヒラッヒラなデザインが主流だな……? これも修行の一つなのか……!?


「アリアノット姫、そろそろ中腹の休憩所に差し掛かる。一度そこで全員体調を確認したいと思うが、いいか?」


「あ、うん。ありがとうフォルティス様」


 休憩所と言っても、そんな立派なものではない。

 昔は信仰のために開かれた山でもあったので、当時の名残らしいんだけどね。


 閉ざされた今ではただ岩が少ないだけの広い場所で、丸太がいくつか残るばかりだ。


「ヴィルジニア、足はどう? 痛んだりする?」


「大丈夫だよ。ユベールの魔法のおかげか、全然元気!」


「よかった」


「それじゃあもう少し休憩したらまた歩くとしよう。日帰りで戻れる距離だというから、もうすぐ着くとは思うが……軽く辺りを見てきたが、まだそれらしい祠は見えなかった」


 テキパキ動くフォルティス様とユベール、そして私を気遣うサルトス様とピエタス様。

 みんなのフォローに動くエルヴェと、なんでそんなにみんな連携が取れているのか……!

 こんなこと言っちゃなんだけど、一番お荷物なのは私だ。

 でも私が聖女になれば、やりたかった福祉問題に堂々と切り込むことができるのだ。


「みんな、ごめんね」


 私の言葉に、みんなが動きを止めた。

 こっちを見る視線に、少しだけ怯みそうになる。


 だけど……だけど、私はぐっと拳を作って胸に当てた。


「祠に行って、ちゃんと聖女として神様に認めてもらってみせるから。だからもうちょっとだけ、お願いね! 負担かけるかもだけど、城に戻ったら私もじゃんじゃんバリバリ働くから!」


「じゃんじゃんバリバリって」


 エルヴェがぼそっと突っ込んだけど、そこは突っ込むんじゃあないよ!!

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じゃんじゃんバリバリ、て…
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