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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十八章 聖女認定、頑張ります!
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 どうやら私は泣き寝入りをしてしまったらしい。

 なんたる不覚!!


 目が覚めたらデリアが心配そうな表情でいつも以上に甲斐甲斐しくお世話を焼いてくれた。

 なんでも、寝ている間泣いていたらしい……。

 うっわ、恥ずかしいな!


「あのように無礼な物言いをされる謂れなど、姫様にはありませんのに……」


「……人によって意見は様々だもの。わかっていたのに、動揺してあんな醜態を晒した私も悪かったと思うの。心配してくれてありがとう、デリア。でももう大丈夫」


「姫様……」


 ペルティナさんの言い分も、わかるのだ。

 彼女は真摯に祈り、神に向き合っている……なんとも綺麗で、理想的な神官だと思う。

 祈り、人々のために奉仕し、神の教えを説く。


 そんな彼女にとって私の『皇女として働きながら聖女の任に就く』ってのは、どう見たって皇女が贅沢を止めずに聖女の名前だけもらってふんぞり返る……って言われているような気分になったんじゃなかろうか?


 相互理解が足りないって言うか、意見の押し付け合いになっただけっていうか……。

 一晩経ってみるとくっだらないことで喧嘩しちゃったなあと自分が恥ずかしい。


「……謝りに行った方がいいかな」


「皇女としてのお立場を考えるならば、こちらから謝罪をすることはなさらない方が……」


「ああ……」


 そうだよな、それはそれで厄介だな!

 立場ってもんがあるし、謝罪なんてしちゃったらそれこそ『祈りを軽視していました』って認めるようなもんだしな……!


 でも何も言わずに顔を合わせていつも通りに行動しろとか、ちょっとハードル高すぎない……?


 皇女としての正解の立ち居振る舞いってどうしたらいいんだろうか。

 何もなかったように振る舞う?

 まあ自分にも意見が合るんだし謝るのは筋違いな気もするけど……癇癪を起こしたことだけは申し訳ないと思うしなあ。


 ここがお城の中なら、詫びの言葉の代わりに物品を配ったりして謝意を示すと思うけど、残念ながらヴァノ聖国でそんなことしようもんなら今度は賄賂の配布かって言われかねないし……そもそも買い物の宛てもないわ。


「……伯父様にお時間をいただけないか、聞いてきてもらえる?」


「かしこまりました」


 ペルティナさんが受け入れてくれるかはわからないけれど、王侯貴族は簡単に頭を下げられない。

 師匠だというマルティレス司祭経由で皇女はペルティナさんの意見を無下にするつもりはなく、ヴァノ聖国や創造神に対しても敬意を払っている……という感じで謝意を伝えてもらうのが一番穏便な方法だろう。


「それから、みんな(・・・)はどうしてる? その……昨日は騒ぎを起こしちゃったから、迷惑かかってないかな?」


「あの程度の騒ぎ、被害者は姫様ですのに!」


 プリプリと怒ってくれるデリアに苦笑しつつ、婚約者候補たちは元気に過ごしているし、神官たちとも問題はなさそうだと聞いてホッと胸を撫で下ろす。

 私と一緒に来たからって彼らまで変な目で見られたら申し訳ないからね!


(前世、どこの神様も越えられない試練は与えないもんだって誰か偉い人が言ってたけど、本当なのかしら)


 十歳の小娘には、胃痛を伴いそうな試練なんて不似合いだと思いますけど!?

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