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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十七章 自立した大人って、なにかな?
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 自立とは!

 

 他への従属から離れて独り立ちすること。

 他からの支配や助力を受けずに、存在すること。

 また、支えるものがなく、そのものだけで立っていること。


(……まあそうよねえ~~~~~!!)


 パタンと辞書を閉じて私はため息を吐く。

 ぷうぷうと寝息を立てるソレイユをそっと撫でると少しだけ気持ちが和らいだ。


 自分なりに人生設計を立てて、それに向かって努力をして、満足できる人生を送るために……と思っていたつもりだった。

 なあなあ(・・・・)にしていたことをエルヴェに暴かれて腹が立ったけどそれは事実で、そうだと自覚してしまうと今度は婚約者候補たちと会うのが、少しだけ怖くなってしまった。


 彼らは私が皇女だから大事にしてくれて、ちゃんとその中で私を見てくれているけど……。

 やっぱり私自身もそこに〝皇女だから〟彼らを婚約者候補として見ているのであって、でもそれは別に悪いことじゃない、よね。

 

 前世でのお見合いってものも知り合いの知り合いだからとか、身分的に釣り合うとか、会社同士の繋がりとか……そういうものなんだし。

 本やドラマの世界でしか知らないけど。


 じゃあなんで、私は彼らに会いにくくなったのか?

 それは単純な話、私が今……家族の傍にいるのが楽すぎて、そんな将来を思い浮かべられないのに表向きだけイイコにしていたっていう自分を知ってしまって、申し訳なく思うからだ。


(我ながらくっそ真面目だなあ……)


 楽天的キャラな私が『それでいいじゃん、そういうものじゃないの? お互いメリットがあるんだし~』って言っている横で、真面目キャラな私が『そんなのズルじゃん、彼らは親元を離れてまで来ているのに! ちゃんと考えなきゃ!』って言い争いをしている感じ。


 どっちも間違ってないし、もう少し気楽に考えていい問題だとは私も思っているんだけど……どうにも心が割り切れずにいるのは、どうしてなのか。


(そういえば、ユベールはブレなかったってエルヴェが言ってたっけ……)


 あれってどういうことだろう。

 そんなことを考えながら、もう一度眠るソレイユを撫でて私は部屋を出る。


「庭園に行くわ。エルヴェはソレイユを見ていて」


「かしこまりました」


 今はエルヴェに近くにいてほしくなくてわざと寝ているソレイユの面倒をお願いしたけど、彼はにっこり笑っただけだ。

 なんか悔しい。


 今日の護衛はグノーシスで、いつものようにデリアがついてきてくれる。

 これも私が皇女だからで、彼らは私が皇女でなければこんな風に子供に傅くような人たちではない。


 私はそんな彼らが傅くだけの〝立派な皇女〟にならなくてはならないのに、どうにも〝皇子たちの可愛い妹〟でいたいような……可愛がられるマスコットでいたいのか?ってなるとそれはまた違う話なんだけど……。


(あああああ、考えるな考えるな!)


 頭を空っぽにしたくて散歩しようと思ったはずなのに、なんでまた考えちゃうかなあ!

 私は頭がそこまでよくないんだから、深く考えたらただネガティブになるだけだろうに。


「はあ、どうしたらいいんだか……」


「何が?」


「えっ」


 庭園に出て、大きな木の木陰で一息ついたら独り言に返事があった。

 慌ててキョロキョロ周りを見渡すと、グノーシスがため息交じりに「上です」と言った。


 それにつられるように見上げた先に、ユベールがいた。


「何か悩みごとか? ニア」


「だから愛称で呼ぶのは……」


「ニアが許してくれた」


「ぐっ、そ、それは……」


「まあ、いい。せっかく会えたんだから一緒にお茶でもいかがですか、俺のお姫様」


 ふわりと地面に降り立ったユベールが私の手をとって微笑む。


 顔がいいなあ!

 昔は『くるっぽー』とか鳴くフクロウだったくせにー!!

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