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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十七章 自立した大人って、なにかな?
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 エルヴェと話すようになってから、私は私のことがまた(・・)わからなくなってしまった。


 元々私は前世も含め、今世もそう頭がいい方じゃない。


 前世の記憶があるから、その考え方が今世の年齢で比較的大人びた……っていうのも変だけど、しっかりしているって評価に繋がっている。

 実際、もし前世の記憶がない状態だったら父様の溺愛考えたらダメな子ができあがっていたと思うんだよね……!!


 でも、それは正しいことだったのか?

 いや、正しいことってそもそもなんだ?


 哲学かな!?


(自立した大人、かあ)


 それって、なんだろう。

 私の将来設計は、前世の記憶を元に立てたものだ。

 だから皇女として……この世界の人間としては、そぐわないものなのかもしれない。

 それに、それだって本当にちゃんとした将来設計なのか? って問われると、そもそも前世が普通じゃなかった自分に正しい道が選べているのかって部分はある。


(親に愛されたかった、家族と仲よくなりたかった……勉強したかった、働いてみたかった、自分の好きなことをやってみたかった)


 ただただ、それでいっぱいだった。


 今この世界では、それが満たされていて……兄様たちと打ち解ける前は、満たされないのかも知れないから頑張ろうって思っていたけど。

 満たされてしまった今、どう頑張っていいのかわからない。


(皇女として頑張るってなんだろ)


 恥ずかしくない皇族として立派に……その立派ってなによ?

 淑女として?

 でもなんだかんだ、妃方を見ているとある程度欠点があってもいいんじゃないかなって……うん、ほら、なんだ。


(しかも別の国に嫁ぐわけじゃないし)


 婿候補がいて、彼らは私は私らしくあればいいって……だから私らしくってなんだ。

 考えれば考えるほどよくわかんないな!


「どうしよソレイユ、何もわかんないよ!」


「きゅう~?」


「ソレイユは今日も可愛いねえ~!」


 私の悩む姿を真似るソレイユが可愛い。

 その可愛さに癒やされる。


 もしも、もしも私が前世の記憶なんてなくて、ただの十歳だったなら。

 こんなに悩まなかったんだろうか?

 それとも、結局記憶がないならないなりに悩んでいたんだろうか。

 悩んでいたんだろうなあ。


 すごい兄様たちに囲まれて、自分がそうじゃないって悩んでいたかもしれない。

 そうじゃなくてただ『自分は甘やかされて当然!』ってふんぞり返っている可能性もあるのか……そうか……。


「ゴシュジンサマ、変顔の練習?」


「んなわけないでしょ! 全部エルヴェのせいなんだから!!」


「ええ~? 俺はゴシュジンサマの鏡だから、じゃあ回り回って自分のせいだね!」


「ほんっと腹立つ……!!」


 爽やか笑顔のエルヴェを前に、私は口を尖らせるしかできない。

 だって、なんだかんだ言ってエルヴェの言葉は正しいのだ。


 私が直視したくなかった部分を、他の候補者もだけど……それをつついて成長を促す役割、それがエルヴェなのだから。


「……いつか。ぎゃふんと言わせてやるんだから」


「楽しみにしてますよ、ゴシュジンサマ!」

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