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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十六章 それはじわりと染み込む毒

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 エルヴェが今日は私の傍にいない。

 といってもほんのちょっとの間だけなんだけど。


 父様に定期報告に行っているのだ。

 私のことをゴシュジンサマと呼んで主従関係にあるとはいえ、金銭的雇用主は父様だからね……!!


 警備の話とか、暗殺者がいたのかどうかとか、そういうオハナシをしているんだと思う。

 その辺は普通の護衛と同じだなあと思うので、特に気にするところはないかな。

 暗殺者がいた場合、どんな手段を使われていたのかとかは気になるところだけど……。


 聞いたら聞いたで動揺してしまいそうだから、聞かないけどね。

 エルヴェは聞いたら答えてくれるよ、多分。普通に。

 その辺規定どうなってるんだって思うけど、規定なんてないのかもしれない。


 私のことが守れればいいわけだからね!


「姫様、どうしました?」


「ううん、なんでもないよサールス。いい天気だなって思っただけ」


「さようですか」


 平和だ。

 聖女がどうとか、暗殺や誘拐がどうのとか、そういうのとはまるで縁がないみたいに、庭園では綺麗な花が咲き誇り私は優雅にお茶をしている。


 本当にこんなんでいいのか? って思うけど、何が不正解かってのもわかんないから、多分大丈夫。


(そもそもいるだけでいい聖女ってさ、どのくらいの範囲のことなんだろ)


 しかもいるだけで幸運を呼ぶ聖女って、どの程度の能力かもわかんないし!

 自分がそうだって言われても何も実感沸かないわ……むしろ本当にそうだったとして、私自身にラッキーって起きるのか?


 いや転生して記憶がある上に最高にかっこいいお金持ちな父親と優秀で妹にベタ甘な兄たちがいて、頼りになる婚約者候補たちがいる段階で相当運がいいんだけども。

 記憶があることが幸運なのかって問われたら難しいところだけど、甘やかされてダメ皇女になることを考えたら自制できる精神年齢を持っているってのは幸運か?


(うーん、難しいところ……)


 結局のところ、私……というか、いるだけで幸運を呼ぶ聖女っていう存在を手中に収めるというのがステータスっていうか、トロフィーっていうか、ついでに私を通じて自分の血筋にその聖女が生まれてくるところに価値があるってことなんだという理解はもうできている。


 で、自分で身を守れない程度に弱者であることも自覚している。


(というかいるだけで幸運を呼ぶ聖女なら、ピンチの時にこそそれを発揮してくれたらいいんじゃないかな……!?)


 でも本当にわけがわかんないことだらけだ。

 それに周りを巻き込んでいるんだと思うと、少し憂鬱でもある。


 自分ではどうしようもできないことだって割りきるべきなんだろうけどね。


「姫様」


「なあに、サールス」


「フォルティス様があちらに」


「えっ?」


 今日はお約束の日ではない、けどこうして同じ城の中で暮らしていれば会おうと思えば会える距離。

 だから婚約者候補たちは時間に余裕があってそうしたいと思ったら、私のところにフラッと現れることがあるし、その逆もある。


 でも珍しいのは、フォルティス様がエルヴェと一緒だってこと。

 そしてめちゃくちゃ不機嫌そうだってことも追加しておく。

 エルヴェは相変わらずニッコニコだったから、その温度差がエグい!


(エルヴェ……何したの!!)


 ゴシュジンサマも楽じゃないなあ、ほんとに!!

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