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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十三章 可愛いアノコ

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みなさまメリークリスマス!!

 私は可愛い。見た目が可愛い。

 シアニル兄様に必ず一日に一回は鏡を見てそう思え、なんて言われて一応実践はしている……というか可愛いんだよ、うん。わかってるわかってる。

 自己肯定感がものすごく高いって笑われそうではあるが、前世という感覚を持っているからこそわかる可愛さってものがあるんだよ!


(……でもそれとこれは別だよねえ)


 今日もデリアに身支度されて、婚約者候補たちとのお茶会へ。

 四人になってからは大忙しっていうか、これまでも週一で必ず彼らとは会っていたわけだし苦ではないからいいのだけど……なんだか女子会(?)をした後だから気まずいっていうか。


 別にね! これまでと同じでいいんだけどね!!

 狩りがどうとか、相手からアプローチしてもらうためにはどうしたらいいのかとかなんやかんやお姉様方に言われたことが頭をよぎっているワケじゃないからね!


(……最終的にリーリア様から出た『その相手とキスができるか考えてみてはいかが?』ってのが一番爆弾発言だったなあ)


 おっとりしているように見えて一番過激って……。


 見た目だけじゃなくて、ああいう個性的なところが魅力だよなあ。

 エレーヌ様は言わずもがな、あの癒やし系な愛らしさでしょ?

 カリナ様は溌剌(はつらつ)として物怖じしない堂々としたところがかっこいい女子だもんね。


 じゃあ、私は?

 見ためだけなら(自分的に)百点満点だけど、それ以外の個性って何があるだろうか。


 うーん。

 ……食い気?


(いやだめでしょ!)


 いっぱい食べる君が好き(はぁと)っていうのはいろいろなところで聞くけどそうじゃない、そうじゃないんだよ。

 いや食べない人よりも一緒に美味しいもの食べて笑い合える関係は素敵だよ、憧れるよ、そういう家族を築きたいけども!!


「アリアノット様」


「サルトス様、お待たせいたしました」


「いいえ。……今日の装いはいつもと違う髪飾りなんですね。花がとても似合っています」


「えっ、いえ! あの、ありがとうございます。先日エレーヌ様からいただいたものですから……そう仰っていただけて嬉しいです」


 いや、まさか開口一番褒められると思わなかった!

 確かに髪飾りを変えたけど髪型はいつも通りだし、服装だって……そう、変わっていない。

 普段からサルトス様は紳士的ではあるものの、出会い頭から褒めてくれるとかこれまでなかったので驚いてしまった。


「……誰かに何か言われましたか」


 思わずそう尋ねてしまってから、しまったと思う。

 私があちこちから言われているように、彼らはもっと言われているに違いない。


 私を口説き落として、未来の……皇女の夫という座を巡って、もっと頑張れって。

 そのためにならいくらでも言葉を尽くし口説き落とせって。

 十代半ばの子たちに言うような台詞じゃないだろって前世の自分は言うけれど、この世界ではその年齢で婚約者がいるのも当たり前の世界だから……当然と言えば当然なのかもしれない。


 彼らは責任を果たすという意味での政略結婚を受け入れているし、私一人に対して選ばれるのは一人でしかないのだ。

 カレン様が仰ったように、選ばれるために彼らは努力をするしかない状況で、でも私は……愚かにも、そういった努力よりも『私自身』を欲してほしいと願っている。


 容姿も、身分も、持ち得る知識や能力も、どれもこれも私自身の魅力の一つであるはずなのに、それらを取っ払ってただただ家族を渇望して、してみたかったこと、やりたかったことに手を伸ばしたいのにその方法がわからない……そんな前世の自分もひっくるめて愛してもらいたいだなんて!


(……求められて、大事にしてもらえて、お互いを尊重しあえたらそれでいいって思っていたはずなのに)


 胸が、ズキズキ痛む。

 私は結局、何を望んでいるのだろう。


「……エルフ族って、あまり容姿に頓着しないんだ」


「え?」


「世界は美しい。ありのままであること、自然の摂理の中にあるものは美しく、醜いのは欲に塗れることやそういった(ことわり)に反する行いであること……そう言われているよ」


「う、うん?」


 唐突になんだろう、哲学? とはなんか違うけど、そういう考えなんだって話されても私は首を傾げるばかり。

 でもサルトス様はそんな私を見て困ったように微笑んだ。


「アリアノット様のことは、出会った時からずっと可愛いと思っているし、当たり前のように思っていたんだ。でも言わなければ伝わらないのだとカーシャ様にも言われて、人間族にとって言葉はとても大事なもので、そして伝えてもらうと嬉しいことでもあると教わったんだ」


「サルトス、様?」


「以前にも言ったけれど、僕は君と大樹を育てるような関係になりたい。それはアリアノット様の前向きな気持ちや、心の強さに惹かれたからだ。僕みたいに精霊の見えないエルフでも受け入れてくれるからとか、大国の姫だから……というのはあくまで出会ったきっかけにすぎなくて」


「……」


「なんて言えばいいのか、まだ僕にもよくわからない。でも、他の三人はどうだかわからないけれど……僕は、ヴィルジニア=アリアノットという一人の女の子を、可愛いと思っているよ」


「ありがとう、ございます……」


「うん」


 サルトス様は「今思っていることを言うのっていいね」なんて、なんてことないように清々しく笑っているけどこっちはそれどころじゃないわ。

 まさかの! 爆弾発言ですよそれ!!


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