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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十三章 可愛いアノコ
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 エレーヌ様はおっとり物静かで内気だけれど、親しい友だちを招く茶会はそこそこ頻度も高めに行っているらしい。

 それは彼女にとっての味方と絆を育むためのものでもあるし、皇太子妃となる重圧への息抜きも兼ねているのだとか。


 勿論、そこに招かれるのは高位貴族のご令嬢ばかり。

 中でも親しいのはヘンリエッタ=リーリア・タッセン侯爵令嬢とハリナ=カリナ・レクト侯爵令嬢の二人なのだそうだ。

 性格こそみんな大きく異なるが、年齢も同じで親同士も仲が良いのだとか。


「派閥は違うけれど、だからこそお互い補い合えるってことよ!」


 ふふんと鼻高々にそう言うのはレクト侯爵令嬢だ。

 彼女は軍部派とやらで、レクト侯爵領では軍馬が有名なんだって。

 真っ赤な髪にキリッとした顔立ちで凜々しい美人さんだ!

 得意なのは木登りだって自己紹介されて面食らってしまった。


 貴族令嬢って一口に言ってもいろいろいるんだなあ!


「そうねえ、まあお互いを悪用しようとする人もいるから気をつけないといけないけれど~」


 それに対しておっとり応えるのがタッセン侯爵令嬢だ。

 彼女は貴族派という派閥らしく、私からするとよくわからんのだけどもまあそうやって派閥でバランスがどうのってことらしいんだよね。

 その中でも細分化しているそうだから、私もやっぱりもう少し社交ってやつをすべきなのかもしれない……!!


 ちなみにタッセン侯爵令嬢はとても涼やかな美人さんで得意なのは調香なんだってさ。

 趣味らしいけどエレーヌ様に言わせるともはやプロなんだとか。


「もしお嫌いな方がいたら、虫除け代わりになる香りもご用意できますから遠慮なくお申し付けくださいませね~」


 そっと鼻を押さえる仕草をするってことはくさいヤツってことか!?


 おっとり言うところがポイントだな!

 ほんと、貴族令嬢って一口に言っても(以下略)。


「二人はわたくしにとって大切な親友ですの。是非アリアノット様に紹介したかったので、今日招いたのです」


「ありがとうございます、エレーヌ様」


「この二人でしたら、きっとアリアノット様の味方になってくれますわ。勿論、わたくしも……」


 にっこりと微笑むエレーヌ様はなんとも頼もしい!

 ちょっと頬を染めて照れくさそうにそう言ってくる彼女のなんと可憐なこと!!


(兄様は果報者だわあ)


 うんうんと、どこから目線か自分でもわからない感動を覚えつつ思わず顔が綻んだ。

 いやあ、うちの兄も素敵だが義姉(予定)も素敵だなんて最高じゃない?


「ところで、わたくしヴェルジエット様から伺ったのですが……アリアノット様は婚約者候補の殿方たちとの関係にお悩みとか」


「まあ!」


「まあまあ!!」


 おっと。

 恋バナはやはり異世界だろうと共通の、みんな大好きな話題だな!?


 ご令嬢たちの目がキラリと輝いてさながら捕食者のようではないか。

 私はなんとなくこの光景を、猫に睨まれたネズミってこういうことだな……と思うのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] はじめまして。銀羊と申します。 7章62話の中で、「ヴェルジエット兄様が婚約者とこの五年の間に結婚した」と表記がありました。 126話内で「皇太子妃となる」とありますが、既に皇太子妃な…
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