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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十三章 可愛いアノコ
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 そして私たちはお互いの関係性を見直すべきだと周囲からの助言もあって、特に私は同年代の、同性のお友達が必要だ……ということになったのだ。

 まあそれでも最初に名前の挙がったのがヴェル兄様の婚約者なので、結局年上だというおちには突っ込まない。


 確かに私には後ろ盾らしい後ろ盾が男親である父様になってしまうため、どうしても社交的な面では女性的な面での弱さが出るというか……。

 例えばお茶会とか、サロンとか、ダンスパーティーとか。

 そういうものに関しては私もなんとなく避けているし、父様は『ニアの好きにしたらいい』で参加してもしなくても帝国の皇女が望むように! っていうスタンスだしね。


 それについて陰口なんて叩こうもんならね、皇帝と皇子たちを敵に回すってことになる……というわけでみんな心の中で何かを思っていても口をつぐんでいるよう。


(……しかもどのお妃様たちを頼っても派閥が黙っちゃいないと思うと、余計なことは言えないよねえ)


 今回はヴェル兄様の婚約者さんだけど、今後は他の兄様たちの婚約者さんたちとも交流をしていかなくちゃ貴族家たちのメンツってものがあるんだろうな。

 それを思うと胃がぎゅうってした。


(いやいや、これも皇女としていい暮らしをさせてもらってるんだから……!)


「あの、アリアノット様? 大丈夫ですか?」


「あっ、大丈夫です!」


「良かった。お茶があわなかったのかと思って……」


「いいえ。とても良い香りのお茶なので、何の香りかなと思って」


「まあ!」


 私と向かい合わせで照れくさそうに微笑む美女、彼女こそがヴェル兄様の婚約者。

 ビアトリクス=エレーヌ・マクドゥス。

 国内の複数ある公爵家の筆頭である、マクドゥス公爵家の次女だ。

 ちょっと人見知りで儚げな容姿を持つ美女で、ヴェル兄様とはとても仲睦まじい。


 名前は結構強気に『勝利』とかそういう意味合いを持っているらしいんだけどね。


「香りはわかりましたか?」


「うーん。花と、果物でしょうか」


「ええ、そうです。アリアノット様は確かな嗅覚をお持ちですのね。とても繊細な香りなので、どちらかしかわからない方も多い茶葉ですの」


「そうなんですね」


 最近、女性たちが開く茶会ではこういう感じの利き茶が流行しているらしく、エレーヌ様も私が楽しめるようにと持ってきてくれたのだ。

 うーん、ハイソな楽しみ方だなあ!


「アリアノット様とこうしてお話しできるなんてとても嬉しいですわ。他の方々も、是非お話ししてみたいと仰っていましたから」


「そうなんですね」


「いろいろと複雑なご事情もおありでしょうし、無理にとは申しませんが……味方となる女性貴族たちがいると、あちこちからお話が聞けて助かることもありますから」


「……はい」


 エレーヌ様の言っていることはわかる。

 でも私には付添人(シャペロン)的な貴族女性もいないし、父様に気に入られたいけど私に話しかけるには勇気が……っていう状況で歩く爆弾みたいなんだって自覚はあるんだよね。


(せめて父様に姉妹とか、祖父母がいてくれたらよかったのに……)


 ちなみに父様は一人っ子だったそうだ。

 だから余計に兄弟とかそういうのが微笑ましくってしょうがないらしいよ!

 でも遊び場作るために山を切り開こうとしたのはだめだからね!!


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