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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第十二章 花は一本、蜜蜂四匹
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「早い内に打診は来てたんだ。ニアと俺は顔見知りだし、立場的には当然だと思う」


「そ、そう、かな……?」


 いや確かにユベールは一国の王子だし、年齢的にも範囲内。

 父様からしてみれば一時期は保護下に置いていたってこともあって人柄もクリア。

 私との関係は最初から親しいところにあるわけで……。


 あ、うん。

 確かに妥当か……。


「というか、おそらく俺が第一候補だった」


「ええ!?」


「顔見知りで友好国の王子、しかも帝国で暮らしていた経験もある。当然だろ?」


「確かに!!」


 帝国側から見ても魔国側から見ても、ユベールが適任だ!


 とはいえ、ユベールの成長の他にも近隣諸国、属国の配慮を考えれば他の候補者たちも受け入れるのは当然。

 その上、父様のことだから私に選択肢を与えたかっただろうし……。


「手紙にも書いたけど、弟が生まれたんだ」


「そう! それも聞きたかった!!」


 ユベールのお母さんは意識のないまま魔国に帰って、一ヶ月ほどして目を覚ましたそうだ。

 勿論それまで寝たきり……っていうか仮死状態だったもんだから、目を覚ましたからハイ元気! ってわけにはいかないので療養生活を余儀なくされたわけだけども……。


 その後大人たちの間でどんな話し合いが持たれたかまではわからないけれど、少なくとも魔国の現国王はユベールを早々に息子として認知し、目が覚めたユベールのお母さんを一から口説いて王妃にしたってワケ。


 で、二年ほど前に第二子……ユベールの弟が誕生したのだ。


「弟が魔国を継ぐ魔力を受け継いでるから、俺は元々魔国を出るも残るも自由って言われているんだ」


「そうなの!?」


 もうね。

 次から次に情報が多すぎるのよ。


 どうしてそういう大事なことを先に言わないの!

 手紙みたいに残るものには書けなかったんだろうけど!!


 万が一届かなかったら問題になっちゃうもんね!


(でもだからってなんかこう釈然としなぁい……)


 知らない間に世界が動いている。

 それは毎日なんだけども。


「……ユベールは良かったの? その、帝国に戻りたかったにしても私のお婿さんだよ? わかってる? お婿さんだよ?」


 大事なことなので、二回聞いてしまった。

 私が真剣に尋ねているというのに、ユベールはひどく渋い顔をしているではないか。失礼な。


「お前、俺の話聞いてたか? なあ?」


「ぷぎゅ」


 鼻を摘ままれた。

 変な声が出た。


「俺は自分から望んでこの話を受けたし、なんだったらさっさとこっちに来たかったんだ。父上がなかなか許さなかったから出られなかっただけで、魔力の訓練も王子としての作法その他はとっくに終わってる。ニアに見合うだけの立場を手に入れた」


「……え」


「なあ、お前は賢いけど本当にバカだよなあ。ニア」


「失礼だよ、ユベール」


 人を褒めたり貶したり忙しいなあ!

 でも、ユベールの言葉は優しくて、私はなんだか照れくさくて俯いてしまう。


 なんでかなんてわかんないけど、ユベールを直視できなかった。

 いやなんでかなんて、本当はわかってる。


 他の三人もそうだけど、私に対して好意を向けてくれるその態度が、照れくさいのだ。

 私はそれに慣れていないから。


(くっそう、たかが十五才のくせにぃぃ!!)


 前世プラス十才の私よりも色恋に何歩も先を行くだなんて、なんてやつらだ!!


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