突き抜けるような高い空。白い絵の具を散らしたような雲。どこまでも広がる雄大な大地。彼方に伸びる地平線。
そこはそんな場所だった。
金の長い髪がなびく。光る長剣が振りかざされる。白翼の天馬が空を駆ける。
紅き竜が雄叫びを上げて立ち塞がり、業火の息を吐く。
光芒を放つ剣筋は弧を描き、巨大な竜を両断する。
割れた巨体は重量をなくし、光の粒となって空へと立ち昇る。
どっと歓声が沸いた。歓喜の声が口々に言う。
「さすがレベル99の勇者だ」
「ステータスが違う」
「未知のスキルを持っているそうだ」
口々に感嘆の声をあげる群衆。その群衆に囲まれる自分の姿が見えた。
“レベル? ステータス? スキル? 何を言っているんだ”
脳裏に浮かぶ疑問とは裏腹に、歓喜の声を上げる自分がいる。
いや、自分――なのだろうか。群衆に囲まれる『それ』は長い金髪の、長身の美女だ。そんな人間であったことなど今生一切ない。だがその『自分』は、今度は何もない中空に向かって手を伸ばし、何かをなぞるように指を動かしている。まるで道具を操作するかのように。
“これは……”
見覚えのあるような光景だ。
どこだったか。いや、そもそもこんな光景に見覚えがあるはずがない。なぜならばこんな世界は、こんな光景は現代日本にないものだ。それ以前に何故自分の姿が俯瞰できているのか。
頭が痛い。視界がにじむ。
違う。これは視界の問題ではない。世界の解像度が急速に落ちていっているのだ。全てのものが光の集合体へ、3色の光の粒になっていく。
頭を抱えた自分が苦しげな表情でこちらを見ている。
――そうだ、これは
「ゲームか!」
作り物の自分が叫んだ。