第7話 襲撃者
春になる頃にはグリフォンも飛ぶことを覚え、近くの森に狩に出かけるようになった。こうなってくると、リーシア一党の懐具合はあまり厳しくなくなり、領地の塀の中になんとか掘建小屋を建てられるようになった。
堀を掘り、塀を積み上げるかたわら、森にまで木を伐りにいき、丸太を調達する。あくまでも屋敷を建てる前の仮住まいなので、ほとんど単なる厩である。
小屋を立てている間は堀は休み、柱穴を掘っては柱を立て、丸太の壁を積んでいった。壁にした木材は斧で切り欠いて、互いに組み合わさるようにし、隙間を減らした。
釘や鎹は高いので、できるだけ節約しなくては。
そんなある日、狩に出ていたグリフォンが、急に戻ってきて、巡回の途中に立ち寄ったリーシアに何かを訴えかける。
どうやら何かが領地に迫っているらしい。
まだ屋根を葺いていない、壁だけの柱によじ登って、グリフォンたちが訴える方角を見てみる。遠目に森がざわついているのが見えた。
「敵襲!カルルは騎士詰所に連絡!!」
「おう!」
「メルさんは迎撃の用意!矢の用意を!」
「わかった!」
「師匠とフィルさんは支援の用意を!」
「「わかった!」」
森から領地までは少し平原が広がっている。襲撃してくる集団の規模によってはここで迎撃するのもいいかもしれない・・・。しれないけれども、どうなんだろう・・・。
わずかに逡巡してから、迎撃するにしても堀の外がいいと、決めた。
グリフォンズにも、敵に警戒させないよう、「大人しくしてね」と言い含める。
全くこの2羽は賢い。
しばらくしてカルルが帰ってくる頃、森の境界から敵の姿が確認できた。
集団で活動することが知られている亜人種のうち、ほぼ最大の体格になる、オルクスだ。同じような亜人種のゴブリンやコボルトに比べてやや大柄で、やや太ってる個体が多いので「豚人」とも言われる。
遠目に、オルクスがわずかながらも武装していて、整然とはいえないながらも部隊を構成していることが見てとれた。総大将はあの、山犬にまたがるものだろう。
身支度のできたメルさんに代わってもらい、リーシアも庭に降りる。盾を持ってから、皆に作戦を説明する。
当然だけれども、ウェスタヤルトからの支援はない。それでもまあ、リーシアが守らなければいけないような民草がまだ領内にはいないことが、物悲しいながらも安心材料といえる。戦闘訓練を受けていない民を守りながら戦うことほど大変なことはない。
それを考えればこれは好きなだけ暴れればいいわけだから、楽と言えば楽だ。囲まれないように、うまく立ち回ろう。




