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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

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第5話 論功行賞

レルム撃退の論功行賞において、リーシアは確かに褒賞を賜った。賜ったは賜ったのだけど、正直言って微妙だった。

なにしろ領地と言っても得られたのはウェスタヤルトの西に広がる平原。その千歩四方。広さはざっくりしているものの、リーシアの感覚で言えば、1600米四方と言ったところ。


確かに領地としては結構なものだけれども、現状ただの荒地でしかない。ついでに言えば、ウェスタヤルトのような防御設備があるわけでもなければ、水源も住居もない。これは実質口約束に過ぎないとも言える・・・。


これが防衛戦の辛いところ。なにしろいくら命懸けで戦っても、得られたものがない。まあいい。これから防御柵を作り、家を建て、開墾していけばいい。これから、これからだ。


仲間の騎士たちからは賞賛もあるけど、ほとんどはやっかみ混じりだった。仕方がない。岸に取り立てられたばかりの新参者というだけではなく、なりたての新人騎士。それがただの巡り合わせで手柄を立てた。

仕方がない。


その意味でも得られた領地がそれほど美味しい土地ではないことは、よかったのかもしれない。ギュンター公がそう考えてあの土地にしたのだとすれば、これはなかなかの名君かもしれない。リーシアの才覚ひとつでこの土地はなんとでもなる。なんとかなった場合にはここはレルムからの最前線となる。


カルルと二人で帰る道すがら、どうしても唸り込んでしまう。同情の視線を送る文官たちの視線を受け取ればなおさらだ。まだ領地経営の苦労を知らない僚友たちはなんとも呑気に思えてならない。


宿に戻って皆に褒賞の話をすれば、メルさんが能天気に喜んだ一方で、やっぱりベル師匠、フィルさんは溜息混じりだった。


「え、なんで?なんで?領地持ちになるっていいことなんじゃないの?」と戸惑ってる。事情を話せば「そういうものか」と一応の納得はしてくれたものの、腑に落ちたようには見えない。まあ、こればかりはやっぱり、実際の経験がないとなかなかわからない。


師匠はもちろん自前の領地を経営してきたし、フィルさんはそれを手伝ってきた。リーシアとカルルは農民出身だし、リチャード様の元で「騎士の領地経営」を見てきたつもりだ。それでもまだまだ甘いと実際の領主であるベル師匠からは言われるだろうけど、それはまだこれからだ。


「そこで、これからどう経営をしていこうかということの相談なんだけど」


「まずは境界をしっかりはっきりさせることじゃないかな」というのは師匠。


「具体的には、まず、堀を掘ってその土を積み上げて塀を作るのがいいんじゃないかな。

「家を建てようが、畑を耕そうが、侵入されて荒らされたら無駄になる」


「なるほどー」


「となると、交代で巡回から外れて溝を掘るか」 


「とは言え、リーシア様は巡回から外れるわけにはいきませんね」とはフィルさん。


「そりゃまたなんで?」とメルさんが当然の疑問を呈する。


「リーシアがこの隊の隊長騎士だからさ」


「なるほど」


「私はカルルが隊長でも構わないんだけど」


「そんなわけにはいかんだろ」とはカルル。だめかー。

「ギュンター公にはリーシアの名前で仕えてることになってる。俺たちはあくまでもリーシアの手下だ」


「私は協力者だけどね」とは師匠。


「手下って言い方は好きじゃないなぁ・・・」


「んじゃ、郎党」


「一味とか?」


「それじゃ悪人だよメルさん!」


「ワハハ」


「まあいいや、なにしろ私は巡回は外れられない。私の名前であちこち巡回した際にサインしていかないといけないから。あとの堀づくりはみんなに任せるよ。大変な仕事を押し付けてごめんね」


「で、一応みんなに説明しておくと、門から出て坂を降り切ったところから千歩四方。ここまでが領地。名前はまだない。堀の形についてはいろいろ思いはあるけど、褒美としての都合から真四角。つまり降った道から南北にそれぞれ五百歩。西に千歩。

「堀はまず目印になるように浅く掘って、一通り掘れたらエーバーハルト執事に間違いがないか確認してもらう。それで問題がなければ本格的に掘っていく」


「こんなところでどうかな」


「とは言え、実際のところ、俺とフィルさん、メルさんの3人で掘るんだろうな」


「私もさすがに師匠に力仕事をお願いできないよ」


「大丈夫さ。私だって自分が無理なのは承知してる」


「期限はないから、無理のない日程でお願いするね。人を雇おうにもなにしろまだ、今のところここで暮らしていけるのかどうか、目処も立ってないしね」


「ってことで、決まりだね。しばらくはこの宿が拠点だけど」


「よろしく」

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