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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

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第4話 レルムの騎士

「我が名はサムソン!!レルムの大公、ヨエルの騎士!

「リーシアとやら!一手御相手致そうぞ」


と、いきなり大音声だいおんじょうが戦場に轟く。と、レルム兵士がざざっと下がり、視界が開ける。


カン!カン!とそれまで響いていた打ち合いの音も止み、いっときの静けさが戦場を支配した。


兵士たちの人垣を割って現れたのは、一騎の騎士。月毛の巨大な馬にまたがり、兜と鎧が陽光を跳ね返し、リーシアを見下ろしている。


カッカッと駒を進めて来、槍の届かない距離で止まる。

ランスを供周りに預けてから、下馬する。


シャラララ・・・と、鞘走りの音をさせながら、分厚いソードを抜き放つ。

リーシアも改めて盾を構え、槍をしっかりと握る。


流石にソードでは、リーシアの槍よりも間合いが遠い。このソードでリーシアの攻撃を捌くのはむずかしかろう。


午後の風が吹きすぎた。


と、ソードがいきなり上から叩きつけられてくる。そこの刃、鍔、拳に合わせて槍を突き入れて、軌道をそらし、かわす。


ソードが地面をえぐり、小石を撥ねた。騎士の兜からのぞく目が驚愕に見開かれる。その一瞬の隙をついてさらに槍を胸板めがけて突き込む!


重い手応えが返ってくるけれど、刃は通っていない。押された勢いで騎士は後ずさるけど、それだけ。

追撃を許すほどの隙は見せてはくれない。


槍を構え直す。


「やるね」


「貴公もな」と、騎士さんも返す。

じり、と前足を進めると、わずかに左に回り込み、突きこめる隙を消してしまう。

手練れだ。


では今度はこちらから、と、下げた穂先を跳ね上げる崩跳槍を狙うと、素早く盾でいなしてみせる。それだけではなく素早く剣を突き入れてきて、二撃目を許さないところがさすがだ。


突きは盾でいなすだけでなく、リーを使って引き込み、崩してみる。が、これにもこらえてみせる。


化勁なんて知らないだろうに恐ろしい。近づいたところを肩で打撃を加える。


これは流石にたたらを踏んで退がるけれども、倒されたりはしない。強い。


「ほほう。やるなリーシアとやら」


「あなたもやりますね、サムソンとやら」


と、騎士が左右に目配りをした。が、リーシアはこういう誘いで隙は見せない。


「ふむ」と、騎士が頷く。

そして、剣を持つ右腕をさっと掲げて、何やら雄叫びをあげ、そしてまた構え直した。


「何を・・」


と、問う間に騎士が仕掛けてくる。上、左、返す刃で右から、引いてからの突き。それを槍と盾でいなす。あの重そうなソードをまるで蒲の穂を振るかのように振り回す。これは生半可な膂力ではない。


かろうじて防ぎ切れるといった力、速さ、場所の攻めが数合続く。

ソードの重さが響く。


凌ぎ切って、飛び退すさった騎士が間合いを取って構える。


と、傍の愛馬にさっとまたがり、くるりと馬首をめぐらしかけ出した。


これには流石にリーシアも虚をつかれる。軽く駆けただけの馬といえど、流石に徒歩では追いつけない。では他の歩兵は、と、周囲を見れば、すでに大半は撤収の途についていて、その姿は遠い。


やられた。

とはいえ、さすがにへたり込んでいるカルルを見れば、助かったという気持ちは払拭できない。


「騎士リーシア!!いずれまた会おう!!」と、遠くからよく通る声が届いた。

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