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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第2章

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第39話 金塊

巣から倒れ、転がり落ちてきたグリフォンを4人がかりで退け、再び巣によじ登ってみると、師匠のバッグが見つかった。当然と言えば当然だけど、ロバはすでに絶命していて、腹は裂かれて巣に転がされている。


巣には二つの卵があり、親の血を浴び、陽光を照り返している。ロバにつけていた馬具や、荷物を回収しなくては。


とりあえず卵を置いておいて、荷物の回収にがんばろう。まずはロバの馬具の金具を外していく。腹側の止め帯は腹をさばかれた際に切られてしまっていたので、これはロッテンナウに戻って直さないと。


師匠とカルルにものぼってきてもらって、手伝ってもらわないと。カルルと二人でロバの死体をもちあげて、下から馬具を師匠に抜き取ってもらう。


下に落とすと取り落とした時に崖下まで落っことしかねないので、巣から荷物をおろすのには丁寧におろさなくては。


フィルさん、師匠が上から荷物を下ろし、カルルとリーシアが二人で受け取る。


鈍気のそばに荷物を置き、さて、と、みんなに話そう。


「で、あのグリフォンの卵をどうする?」と。


「うーん、放っては置けないんじゃないか」って言うのはカルル。

「今、どれぐらいに育ってるかはわからんけど、あれからまたグリフォンが生まれるんだろ」


「いや、親を倒してしまった今、卵がかえることはほとんどないし、もしかえったとしても育たないよ」と言うのは師匠。


「そういうもの?」


「そういうものさ。でなかったらあそこまでこいつが巣から飛び立たないってないだろ。

「こいつは卵をあっため続けるためだけに、巣から飛び立てなかったんだから」


「へえ。そう言えば、村でも騎士様の城でも卵を産んだ鶏はずっと巣にいつづけたな」


「そうだろ。卵ってのはあっためつづけておかないと死んでしまうんだよ」


「それでもなあ、なんかそのままにしておくっていうのもなあ」とはカルル。


「わかった。とりあえず、卵を割ってしまって、カルルには納得してもらう。それでいいかい?」


「いいよ、どうせ君がやるんだろ」


まあね、師匠。


というわけで、帯剣したまままた巣によじのぼり、抜剣する。軽く振り下ろして割ってみようとするが、意外と硬くて割れない。なんだこれ。

こんなにかたい殻ってありか。鶏の卵はすぐに割れたけど、この一抱えもあるような卵じゃそうもいかないか。


「軽くコンコン刃物の峰で叩くといいらしいぜ」とは師匠。


先に言ってよ。と、しっかり剣を持って刃先でコンコンと叩く。なんだか内側からも叩いてるような気が・・・。


と、卵が割れてパカッと開くと、そこからでっかい目玉が飛び出してきた!


「ピィ〜〜!!」


びっくりして尻餅をついちゃったけど、落ち着いてみたらグリフォンのヒナだった。なんてこった。生まれる直前だったとは。


ピーピーないて、口をでっかく広げてる。


これは困った。可愛くてとてもじゃないけど仕留めたりなんかできない・・・。

言ってるそばからもう一つの卵のコツコツがわかった。ああ、こっちもかえるのか。もうしょうがない、こっちの卵も剣でコツコツ叩いて割り、雛をかえす。


「師匠〜〜、どうしよう〜〜〜」


「どうしようもこうしようもあるかい。ここで殺すか、育てるかを決めるしかないよ。鳥というのは生まれて初めてみた動くものを親と思うらしいからね」


そ、そうなのか・・・。そうなると、この2羽は、リーシアを親だと思ってるんだね。その親だと思ってるものから殺されるっていうのは、これはなんとも切ない。


「師匠〜〜、ロバをさばいて餌にしてもいい〜〜?」


「そうするよりもしょうがないだろうに」


またみんなに手伝ってもらって2羽を巣からおろし、ロバの遺体もおろす。火が傾いてきたので、もう少し斜面の緩い場所まで移動する。


とりあえず2羽には食料から干し肉を食べさせ、少しだけでも静かにさせる。まだまだよちよち歩きなのがなんともかわいい反面、心配でしょうがない。

流石に親鳥をさばいて食べさせるっていうのは酷にすぎる。


巣にはなぜだか金塊もあったので、持ち出しになってしまったわけじゃないけれど・・・。


明日、ロバをさばいて干し肉にしたら、名前を考えよう。

ロバには悪いけど、討伐としては成功と言っていい。

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