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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第1章

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第8話 貼山靠

村の大柄な少年を下してしばらくは、八極小架に加えて貼山靠をはじめた。貼山靠は鉄山靠ともいい、家の壁や、立ち木などに体当たりをして練功する方法になる。もちろん体当たりをすることで体自体を鍛える効果もあるが、いちばんの目的はやはり、力の出し方の練習になる。震脚をおこなって、体の前面、それから側面、背側面をそれぞれ当てる。

壁に当てるのもいいのだが、立木に当てた方が枝の揺れなどで三盤合一が分かりやすい。

まあ、家の壁を崩してしまうのも困るというのもあるけれど。


夏を超えて秋が近くなってきたころ、リーシアにある話が持ち込まれた。



その日もいつものように家の外でカルルと拳を練っていた。まだ昼間は暑さが残り、練功をしているとすぐに喉がかわく。

そこに、まだ日も高いのに父さまが、知らないおじさんと家に帰ってきた。そんなおじさんのことなんか知ったことじゃない。


と思っていたが、父さまに手招きされている。

なんともいえない父さまの表情が、なにか怖い。


「リーシア、まずは座りなさい」


というので、家にはいって、おじさんの向かいに父さまと座った。


「こんにちは」

なんだかわからないが、こういう時はとりあえずあいさつはしておかないと怒られる。神槍の記憶でもあいさつをしない若い者はたいていコテンパンどころか、一撃で屠ってたりするので、あいさつは大事だ。

と思う。


「リーシアちゃんっていうんだね、まだちっちゃいのに、ちゃんとあいさつできるんだね、えらいねえ」

って、おじさんがにっこりしたんで、たぶん正解だったんだろう。


「それで」

と、父さまが促すと


「うん、それでな、ユージェン」

え、とおどろいた。父さまは父さまじゃないのか。


「このリーシアちゃんを、今度の祭りに出さないか。聞いた話じゃ、この間、誰だったか、村の悪ガキを1発でのしちゃったそうじゃないか」


「ううん・・・。正直、こんな話がくるんじゃないか、とは思ってたがなあ」

なんのことだろう。お祭りなんて、みんなでご馳走食べて、歌って踊って騒ぐだけじゃないのかな。

これはあれかな、祭りの余興で、村の力自慢がその力を競う的なアレかな。


「お前もうっすらそう思ってたんなら、話は早い。考えておいてくれないか」


「うーん・・・」


「組み合わせがあるから、返事は早めに頼むぞ。それじゃな」


と言って、おじさんは出ていってしまった。

父さまがまだうんうん唸ってるので、リーシアは待ちきれなくなって、また庭にでた。


正直にいえば、不安があることはある。打ちどころが悪ければ、人なんて簡単に死んでしまうことは神槍の記憶で知っている。また、まだまだ拳を練りはじめて一年もたたない自分の力がどこまで通じるのか、という不安ももちろんだ。


とはいえこの不安を気にならなくさせるほどに、第一歩を踏み出す期待感というのが大きかった。

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