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第33話 ゴブリン首領

ガツン! ガツン!と振り下ろされる大斧をギリギリでかわして隙を窺う。


少しずつ痺れが取れて、だんだん避けるのに余裕が出てくる。まだだ、まだ。もう少し、回復したい。


よしと、次の攻撃をかわして立ち上がる。


つっと、首領が半歩引く。首領が肩で息をしているのがわかる。傷は塞がっても、流した血はすぐに増えたりしない。

そこが付け目だ。


剣は振りかぶらずに、バックラーの影から突き込む。

首領が斧を振るう。遅くてリーシアを捉えきれていない。首領の左脇腹に突き入れて、左に引き斬りながら抜く。


剣を抜く勢いを使ってそのまま、右肩でこうを入れる。


首領の斧を握った右手がヘルムの後頭部をゴツンと叩く。


吹っ飛んでいく首領が大斧を取り落とす。


たたらを踏んで下がる首領の脇から血が噴き出るのがわかる。半歩下がって震脚し、左下から突き上げる。首領は避けきれなかったけれど、自分の血を足を滑らせ、膝をつく。


空を切って突き上げた剣を振り下ろす。


頭を斬りつける。


ただ斬るだけではなくて、十分に勁を込めて打ち下ろす。

斬ると言うよりも殴りつけるような手応えで、首領を張り倒す。


倒れた首領がついた右手を手首から切り落とす。肘までついて、堪えようとするけれども果たさせない。上から腹を両断する。


とはいえ流石に脊椎は切れない。


流石に動きを止めた首領の今度は首を、きっちりと斬り落とす。


つめていた息を、吐ききり、また軽く吸って、


「とったぞっ!」と、首領の髪を掴んで掲げる。


ボタボタボタッと血が滴る。


「オオオッ!」っと呼応するのはカルル、そしてフィルさん。


この二人の吶喊が、洞窟内に響く。


もう10体もいないだろう、ゴブリンたちに一気に恐れが走って、潰走し出す。


「逃すか!」

と言うのは師匠。行手を閃光に塞がれる。


視覚を奪われたのはリーシアも同じだけれど、目に残った残像で斬りつける。2体、3体。


「リーシア! もういい!」と、カルルの声で手を止める。


「すまない!」と言うのは師匠。


つむった瞼の裏に、まだ閃光がチカチカしている。


「ありがとう! 師匠、助かった」


「これで完了ですかね」と言うのはフィルさん。


「そう願いたい...」


しばらくして暗闇に目を慣らしてから、奥を徹底的に探る。師匠によれば、ゴブリンは幼生を生かしておくだけでまた、群れを復活させてしまうらしい。徹底的な駆除がいるそうだ。


奥の部屋には5体ほどの幼生と、妊婦らしい女が3人。

幼生を仕留めて確認するが、女たちに意識はあるけれども反応がおかしい。大きな外傷はないように見える。


「これがゴブリンの繁殖部屋だろう」と言うのが師匠。


なるほど。ロッテンナウから拉致されたのか。連れ帰らないといけないだろう。体は完全に弱っていて、まるで立てない。


さて。

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