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第15話 王国騎士

3人の男女を集団の前に出させると、3人ともが俯いている。


おもてを上げろ」


「わ、私たちは何も」


「喋っていいと許可してはいない」とはっきり言っておく。


顔を上げて、リーシアをみるが焦点があってるようであってない。これは一昨日襲撃してきた野盗の縁者かも知れない、と思いつつ、どう自供させるかを考える。


「弟は元気か?」というと、


「な!なぜそれを」

と驚きを隠せない。


「答え以外の発言を許可していない」と遮っておく。


これは、家督を継げなかった次男あたりが食いっぱぐれて野盗の一味になってたか。


「弟は今どこにいる?」と、さらに追い込む。気持ちのいいものではないが、騎士としてはやらねばなるまい。仮にも王の正騎士として野盗に襲われただけでなく、立ち寄った村で夜討ちにあったのだ。これを放置しておいたら、王への叛逆をリーシアが問われかねない。


「お、弟は今、村にはいなくて」

真っ青な顔で、男が答える。

それにしても、故郷の村近くで野盗なんかせずともよかろうものを。


「そうか」


「私たちは西に向かって旅をしているところなんだが、実は、おととい、野盗に襲撃されてな」


村人たちに緊張が走ったのがみえた。ああ、これは、村が丸ごと野盗と結託していたわけかと、ため息をつきたくなった。


「これは全て討ち取った」と、伝える。


これは村全体に鋭い反応を与えた。力なくうなだれていた村長は目を向きリーシアを睨みつけ、殴りかからんとして、隣のものに抑えられるものまでいた。


「この件について、事情を知っているものがいそうだな。流石に王騎士への襲撃を見逃すわけにはいかないが、間接的な関与程度なら見逃すことができるかも知れないぞ」

と誘水をかけてみる。

「事情を知っているものがいるなら、話せ」


「お、俺はだからやめとけと言ったんだ!」

集団の外れにいた男が声を上げる。

「お、お前」

「黙れ!」


と、周りの人間が抑えようとするのを「やめろ、その男にはなさせろ」と制止する。

「ちょっとばかりの腕自慢を選んで、村に出入りする旅人を襲わせたんですよ、村長は」


なるほど。


「村長よ、ああいうものがいるが、真偽の程はどうなんだ?」


「私は何も知らない・・・」

これはまた。徹底した黙秘か。


「そうはいうが、昨晩襲撃したものも村長の命令だと言っていたぞ」


「わた


「そうだ!俺たちは


と遮る声が上がるので、「発言を許可していない!」と制しておく。一方の発言だけを聞くわけにはいかない。


「どうだ、村長」


「何も知らない」


これでは話が進まない。村長の家人に「どうだ?」と問うてみる。

が、こちらも涙を浮かべたまま首を左右に振るだけだ。


仕方がない。


「これでは話が進まない。領主様のところに使いをやってくれないか」と、長の助役に手紙を書かせる。


文を改めるとなんとも村に都合がいい内容になっていたので、助役を笑顔で睨みつけながら書き加えた。封蝋をした時にはこちらも変な汗をかいていたけれど、騎士ゆえに字が読めぬと侮った貴様が悪い。


「馬を走らせれば、1両日中には返事がいただけるだろう。ゆけ」


盗賊などはともかく、いくら騎士とは言え村のことについて勝手に他所の領地のことに口出しはできない。さりとて王の騎士を名乗った以上、襲撃を看過するわけにもいかない。めんどくささのあまり、ため息をこらえるのも苦労する。

そこらの商人などならまだしも、なぜよりによって王騎士を名乗ったものを夜討ちするのか。全く苦々しい。



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