表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/180

第14話 村の朝

久しぶりにのんびりした朝を迎え、身支度を整えた後は、あらためて明る朝の日差しの中、村民を集めさせた。

こういった時には身だしなみを整えて、いう言葉に説得力を持たせないといけない。


「おはようみなさん。自分はミュルクヴィズの騎士、リーシア・ヴェイツェンドルフである」

と、腰に佩いている剣の柄頭を持ち上げて見せる。


訳もわからず集められた村人たちは、不肖不肖、うな垂れる。一応は会釈と受け取っておく。リーシアたちも生まれついての貴族という訳じゃないから、あんまりめくじら立てても仕方がない。

なんで集められたかも理解できないまま、互いに顔色を伺いあっている。


「さて私は、昨晩みなさんの村に宿を借り、ご厄介になった訳だが、夜半、こちらの男どもに襲撃された」


言葉の意味が伝わると、静かなどよめきが村の広場に満ちた。それはそうだろう、仮にも国王の代理人とも言える、王の騎士が村の滞在中に襲撃されたのだ。場合によっては村自体が反逆罪を問われかねない。襲撃者に連座させられれば、死刑になるかもしれない。


カルルに引き摺り出された二人の男を見て、村人が絶句する・・・。


静まり返った村人たちを見渡して、様子を見る。特に顔が青ざめている女が二人いる。襲撃者の妻か。襲撃者二人は既に弱り切っていて、言葉も発しない。


「この襲撃がこの二人だけの考えであれば、この二人を死罪に処してこの件は終了する」


二人の内儀が絶望的な表情で顔をあげ、リーシアを睨む。

「だ、だけど・・・」

言いたいことはわかる、が。


「発言は許可していない」

と言わねばならない。


「二人だけの考えであれば死罪に処して終わるが、だがしかし、二人だけの考えで剣を取って村長宅に侵入し、騎士二人を夜討ちするのは無理がある」


内儀二人は視線を落としたが、一方、数人の村人が驚愕の表情を浮かべて顔を上げた。


「何よりも、動機がない。動機とはつまり、私たちの命を狙うわけ、理由だ」


ふむ。つまり今顔を上げた村人が、村長らと結託していたわけだ。


「わ、私は何も知らない」

小さいつぶやきだが、はっきりと村長の声が聞こえた。


「なるほど。村長は知らない、と」


「う、嘘だ、俺たちは村長に命令されたんだ!」

と、若い方の襲撃者が言う。


「確か、君は昨夜、盗賊が騎士になりすましていると村長に言われたといったな」

とはカルル。

「そ、そうだ。俺たちは村長にそう言われた」

年嵩の方が低く、小さい声で、それでいてはっきりいった。


「私は知らない・・・」と繰り返すのは村長。


「おかしいな。それではなぜ、昨夜、おさは、扉の前にいたんだ?」

と問う。

「襲撃に関係のない、襲撃を知らない人間が扉の前にいるのはおかしいのではないか?」

人間、切羽詰まった時はどんなに辻褄が合わない嘘でも、平気でつく。逆に言えば、きちんと知りたい時に問い詰めるのは悪手だ。


「まあいい」


「その男、その女、その男。前に出ろ」

と、先ほどの共犯者を特定する。

びくりと肩を跳ね上げ、大げさに反応する。これはハズレかな。


さてさて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ