第44話 カタリーナ
「ご理解いただけましたか」
と問うと、カタリーナは目も口も開けたまま、顔を左右に振った。
少しリーシアに嗜虐心が芽生える。
「ご理解いただけないようですから、もう少しお相手いたしましょう」
もはや恐慌をきたして尻をついたままずりずりと後ずさるカタリーナに、
「冗談です、ふふ」
と言って、手を差し伸べる。
が、あとか、うとか発するのみで、呆然としたまま。
「あら」
仕方なくしゃがんで、手を取り、引っ張る。立ち上がらせるけれども、もはや戦意はないようだ。
「よろしいでしょうか」とは、騎士さまに。
「うむ・・・」
騎士さまの顔色がすぐれない。
「騎士さま」
「ん、なんだ」
「カタリーナの部屋は、他の男子たちとは分けていただけませんか」
「それは」
と怪訝な様子だ。
「これまで私と戦って傷を負わなかったのは、カルルとカタリーナしかいません。
「そして、カタリーナは女子です。女子従士として、私はカタリーナに色々教え導きたいと思います」
「なるほど。よろしい。リーシア、カタリーナと二人で一部屋を使い、躾けるがいい」
「は、ありがとうございます」
騎士さまに首をたれる。
こうしてリーシアはカタリーナと同室となり、カタリーナにさまざまな手解きをしていくことになった。




