第45話 西へ
三日ののち、リーシアは旅支度を整えてレルを旅立つことになる。数日世話になって、もはや他人という距離ではなくなったフランクとその女将さん、酒場に入り浸っている男たちとの別れを惜しむ。
盃を交わし、肩を叩き合う。すると一人の女の子が肩を押されてリーシアの前に出てくる。怪訝に思って、親らしい男を見ると
「こいつは孫娘なんですけど、グリフォン騎士の話をしたら騎士になりたいって言い出して」
「ああ、従士見習いか。うぅん・・・。わかった。いつでも嫌になったら戻っても構わないからな」
「わかった」
「あ、こら、言葉遣いは...」
「まだいいよ。これからだんだん学んでいってもらう」
女従士というとカタリーナを思い出す。もうそろそろあの子も騎士に叙任された頃だろうか。無事に育っていれば、だけれども。
「君、名前は?」
「イーダ...」
「イーダね。わかった。今日から君は私の従士見習いだ。騎士への道は険しく遠いよ。よろしく」
「グリフォンリッター、孫をよろしく頼む」
「わかった、何かあったら連絡はこの宿に知らせよう」
そうして新たにイーダを一行に加え、リーシアたちはレルを発つ。目指すはレルムの西方、ユーダリル。レルの西門をレルム王カーティスの書状を持って通過し、街道を歩く。




