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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第4章

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第15話 祝宴

夜、オルクスの村に留まり、主要なオルクスを集めて宴が催される。


リーシアが勧められた席は家の奥で、明らかに上座だと思えた。そこでリーシアはあえて奔るものにいい、席を対面に変えてもらう。人数的なバランスは悪いけれど、ここは譲らなかった。リーシアが上座に座れば、オルクスに攻められた報復に攻め滅ぼしたようにしか見えない。そうではないのだから、ここは譲れない。


そうして奔るものの乾杯の合図で始まった宴ではあるが、始まってすぐにリーシアは立ち上がった。


「ここに集まった皆さんに伝えたいことがある。

「他でもない、私が討った、先の村長の名誉についてだ」

もちろん師匠が逐次翻訳してくれるので、適当なところで息をついで、翻訳しやすく話す。


「皆も承知のように私は彼を罪人として討った。

「ただし、私、リーシアは彼を文字通りの意味の罪人だとは考えていない。

「彼は、私の考えでは彼以外のものの累が及ばぬように、私への反対者としての罪をあえて背負い、わざと討たれたのだ」


「おお」と、師匠が訳すと室内がどよめいた。


「彼がもし、即座に私に恭順したとするならば、今度は誰がリースブルク攻撃の責任を負うのか、今度はその罪人は誰なのか、村の中で罪人探しが始まるだろう」


「おお」とまた、どよめく。


「またもし、彼がこの村は襲撃には関係ないと言い出せば、その嘘を私に告げ口して取り入ろうとし、今度は村人同士が告げ口しあい、村を疑心が覆うだろう」


「そしてまた彼は、彼の命令だったかも知れなかったが、彼の意を汲んで我がリースブルクを攻めたものに罪を被せて自分だけぬくぬくと生き延びることに耐えられなかったのだろう」


「これらのことを考え、悩み、彼は自分で決着をつけることを選んだのだ。彼は村によくないものが残るのをよしとせず、その咎をその一身に背負って死んでいったのだ」


「これはまさに彼が英雄と讃えられるのに相応しいおこないであると私、リーシアは宣う」


「おお」


「よって私リーシアは、彼、猛きものをここオルクスの村の英雄とかぞえ、ここに讃えるものとする」


「彼猛きものの埋葬を許し、よしとする。ただし、彼の名をもって名誉回復のためのリースブルクへの反逆は、彼自身の願いを損なうものであることは皆のものに周知おきいただきたい」


「私の方からは以上だ」


「おお、おお」

とまたどよめく。


「では私の方から」とは奔るもの。


「リーシア様の赦しを得て、村長猛きものをこの後祀り、村の守護とする。

「この赦しを得た証として、まずはご一同と飲食を共にして、祝う。

「今宵の酒においてはすべの無礼をなかったものとする」


そして皆で大いに飲み、食べ、そして歌い、踊り、騒いだ。

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