第6話 武勇伝
武器保管庫から食堂に移動しながら話を続ける。
「まず道を塞ぐように5人ぐらい立ちはだかったから、最初にそいつらをぶっ倒したんだ」
「カルル、そんなにいなかった。話を盛りすぎだ」
「2、3人?」
「うん」
「立ち塞がっただけで倒されたのか!ですか?」
「そうだよ。もうすでにその時には叙任されていたんだから、王命以外で騎士の行動をさえぎるのは反逆罪だし」
「はあ」
「どんな事情があるにしても、行手を塞がれている時には、退路を断たれたらもう何もできない。この状態では、立ち塞がった相手を倒せなくても、突破して挟撃だけはされないようにしなくちゃいけない。狭い山道だから、多少相手が多くても人数差はそれほど重要じゃない」
「...なるほど...」
「とりあえず、行く手を塞いだ数人を倒して、とって返して背後を突こうとしていた集団を拘束したよ」
「それで捕まえた賊はどのように...」
「捕まえてないよ」
「え」
「捕まえたって、賊の方が人数多いのに、連行できるわけないだろ」
「事情なんて聞いたってどうしようもないしね。拠点にしていた小屋もちゃんと潰しておいたよ」
「はあー」
「とはいえ、その賊も近くの村に関係者がいたから活動できていたんだしな」
「え!あ!あの...」
「あ、フロールヴは知ってるんだ、村ぐるみで山賊をしていたあそこを」
「なんて名前の村か、結局聴きそびれたな」
「山賊の親玉だった元騎士が、結局村長の家の人間だったんだろうな」
「なんという...」
「その村で一晩宿をとったんだけど、寝入りばなに襲撃されてな。
「結局村長一家を全員拘束してから寝たよ」
「あの件を取り扱った騎士がリーシア様でしたか..」
おや?なんだか態度が変わったような。
「ゴブリンの討伐と、グリフォンの討伐をしたのは、その後うちの塔によって、私たちが同行するようになってからだね」とは師匠。
「それでもグリフォンはともかく、ゴブリンの討伐というのはそれほど苦労しなさそうに思えますが」
「うん、フロールヴはどんな討伐をしたことがあるのかな」
「私はコボルトの村を討伐したことがあります。村に接近して、夜討ちをしました」
「ああ、うん、私もカルルもそれはしたことがある。コボルトは村を作るから、討伐が簡単だよね」
「ゴブリンはねえ・・・。洞窟に住み着くんだよね。あれを討伐するのは大変だったねえ」
「洞窟ですか」
と、武勇伝大会になりそうなところで、メルさんが大声を上げて飛び込んできた。
「リーシア様!やっとオルクスどもの拠点を見つけたぜ!」




