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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第4章

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第1話 騎士フロールヴ

フロールヴはどうしても元々領主だったザオベル師匠ばかりに向き合い、カルルを蔑ろにするどころか、リーシアにも横柄な態度を取り、それを隠そうともしない。


「フロールヴ。貴様はこの砦で本気で身を立てるつもりがあるのか?」

と、やむにやまれずリーシアは問うた。


ところがこれをフロールヴはまるで聞かなかったように黙殺する。


「おいお前!」と流石にカルルが声を荒げる。


肩を掴むカルルを振り向かず払い除けようとし、あっさりとカルルに「化」され、姿勢を崩してしまう。

※ここでの「化」とは化勁、すなわち力の受け流しのこと。


「な!何をする農民!」

と、フロールヴが声を荒げる。


「何をするとはご挨拶だな、新米」


「な、何を・・・!」と、頭に血がのぼる。全くやれやれとしか言いようがない。


「まだわかっていないようだが、ここの領主はリーシアだ。領主を蔑ろにするような騎士なんぞ、この砦で何かを任されることなんてないぞ」


「バカを言うな!第三子とはいえ、ザルツドルフ領主の息子だ!貴様ら如き農民兵の指図はうけん!」


「ああ、つまり貴公はこのリースブルクに住まうつもりはないと理解すればいいのか?」と、ついに口を挟まざるを得なくなる。


「ギュンター公からはリースブルクの厄介になれと言われただけだ!農民の配下になれとは言われておらぬ!お前ら如き農民、我輩がここから叩き出せばいいだけのことだ!」


「ぷっ!」っと吹き出したのはベル師匠。

「ゴブリン討伐を成し遂げて、幾度も戦場で功績を上げた、グリフィスリッターのリーシアを叩き出すだって!?あははは!」


ベル師匠が笑い出したことでフロールヴは挙動が怪しくなる。


「な、何を・・・」

腹は立つが、魔道士の師匠には怒りの矛先を向けられない。リーシアもつい、頬が緩んでしまうが、流石に領主として爆笑するわけにもいかない。


「ザオベル様はこの農民に騙されているだけなんです!実力を曝け出されれば、こんな農民に騙されたりなんかしません!」


「あはは・・・、いやいや、このザオベル、リーシアのゴブリン討伐、グリフォンの討伐も一緒に成し遂げたいわば戦友なのだがね。よもや君は、このザオベルがリーシアに関して虚言を弄しているとでも言うつもりかね」

と、わざとらしく大仰な言い回しをする。


「な・・・」絶句する。


「まあいいだろうよ。口で言ってもこの手のクソガキは言うことを聞いたりしない。リーシア、力の差を見せてやれ」


「待ってくださいよ、師匠。私、こんな子供をいじめるつもりなんかないんですから」と、一応抵抗してみる。ニヤニヤ笑いは止まらないけれども。


「貴様!貴族を愚弄するか!」と、当然だけどフロールヴが激怒する。まあ、リーシアとしても普段踏ん反りかえっている貴族階級の人間を見下せると言うのは少し溜飲が下がることだ。


「愚弄するってわけじゃないけど、供周りも雇えない根無草が私を領地から追い出すと言われてもちょっと真面目な話とは受け止められないよね」


「騎乗してジョストをするにしたって、お前の荷馬がグリフォンに敵うとは思えないんだが」とはカルルだが、これは図星だったようで言い返せない。


「ぐぬぬ・・・」と唸る人を初めて見た気がする。


「貴様ら如き農民など、剣など使う必要もない!我輩が直々にこの拳で叩きのめしてやる!そこへ直れ!」


と言うので「やれやれ」と呆れ返る。

「これでも最初に騎士様に出仕した時には、配下の騎士を一人、引退させちゃっているんだけどね・・・」と。


と、皆の方を見ると、ぺぺの目が異様に輝いている。そういえばぺぺにはこの話はしてなかったか?本当にやれやれだ。とはいえ、本気でやってしまってここで潰すわけにもいかない。今、リースブルクで騎士は、一人でも多く欲しいのは確かなのだ。

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