表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/180

第44話 後輩騎士

夏を過ぎて館の屋根が葺かれ、皆の入居が始まった。日々の作業に追われながらなので、遅々として進まなかあったけれども、それでも秋口になる頃にはまあまあ、不便がありながらも小屋住まいからみんなが脱することができた。


共同領主になるリーシアとカルル、それから文官扱いのベル師匠、フィルさんが2階に個室を持ち、階下にはメルさん夫婦、従士見習いのぺぺ、それとクリムヘルトが住まう。空き部屋もまだあるが、これは今後の拡張に備えての余裕だ。残りの農夫、シギベルトとスキュラ、グリフォ一家、ギーゼルヘル、ビュグヴィル、ソルザルは小屋に住まう。


2羽のグリフォンは体格も相当大きくなり、もはや館の扉はくぐれない。悲しみに暮れる、キューちゃん、ピーちゃんだけれども、農民組と一緒に小屋住まいにとどまらざるを得なかった。鶏たちとロバ、それに春に買い込んだ牛が1頭。少し手広くなったけれども、まだまだこれから増やさなければ。


武具を運び込んでも館の部屋はまだまだ寂しい。広間も設けたけれども、出番があるのかどうか・・・。あまり豪華にし過ぎて、先輩騎士に目をつけられるのもリーシアとしては不本意だ。

とはいえ、先輩騎士の中にはウェスタヤルト領内に館があって、それほど大きく構えていられない騎士もいる。リースブルクの館はそれほど大きく作ったつもりはないけれども、彼らの館に比べれば、若輩のくせに大きすぎると反感を買うことは大いに考えられる。


李書文はもっとシンプルに「文句のあるやつは片端から打ちのめしてやればいい」などと宣ったりするけれども、一人で好き勝手できる武術家と違って、味方の騎士と力を合わせて戦う騎士では話が違うとリーシアは思うのだ。

個人戦と集団戦。一騎当千といえば聞こえはいいが、要はただ、戦場で孤立しているだけだ。いくらなんでも一人で一千人を倒すことはできない。いくら李書文の武術が一打必倒でも、千打を打つだけでも力尽きかねない。ましてや実戦なのだから敵だって黙ってやられてはくれない。


一人で十人も倒せれば大英雄だろう。そうなるとやはり味方の兵士は多い方がいいに決まっている。戦さでもないのに敵を増やしても、いいことは何もない。


そうこうして秋たけなわ、一人の騎士がウェスタヤルトにきた。何年か前のリーシアと同じ、所領を求めてさすらう新米騎士だった。


だが、リーシアと違って着任早々にレルムが攻撃を攻撃を仕掛けてくることなんて、まずない。何しろ。レルムとの国境はリーシアの頃に比べて歩いて5日は西に動いた。それまで最前線だったウェスタヤルトはもうミュルクヴィズ西部の大都市だ。


なんだかこう、彼に申し訳なくていたたまれない。名前も知らないけれど。


と思ってまるで他人事のつもりをしていたところが、思いがけなく縁が生まれることになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ