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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

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第37話 カルル、還る。

カルルが出征してから半月ほど経って、カルル一行がリースブルクに帰ってきた。パッと見て人数はそれほど減ってないので、戦自体は勝ったのだろう。凱旋行軍はリースブルクに着くとリーシア達の歓迎と共に大将となったバウト様が大型のキャリッジから降りてきて、軽く挨拶を返す。


ここからはバウト様のキャリッジも含めて、他の騎士連中のワゴンを斜面を越えるために御者も含めて降車する。頑健な荷馬とはいえ、一戦ひといくさ戦ってきたのだ。最後の最後でいじめることはないし、騎士連中も徒士かちも馬達に溢れんばかりの感謝を持っていることが伝わる。


もちろん、カルルのワゴンはここで止まり、ソルザルもここでへたり込んで、大勢の大人達の温かい眼差しに迎えられる。ビュグヴィル、ぺぺに両脇を支えられて館に入っていく。ギュンター公への報告にはカルルとフィルさん、それにリーシアもいかねばなるまい。軽くサーコートを羽織り、剣を吊っていく。もちろんカルルはそのまま、この斜面を登らねばらならない。


馬車や騎馬から降りた軍隊が、できるだけ荷物を持って馬車、乗馬を軽くし、足を引き摺りながら斜面を登っていく。リーシアも手ぶらなのは気が引けたので、ロタールさんの馬車に向かって


「私は出征しなかったので、余力がある。とはいえ登城しなければならないだろうから、幾許かの荷を運ぼう」と申し出た。


「お、おう。ありがたい。頼まれてくれると助かる」

と、鷹揚おうように頷いてみせる。狡猾な男だ。


萎んでしまってほとんどからになってしまった、麦粉の袋を軽く背負って斜面を登る。見たところソルザルを除けばバウト様が一番年少なようだ。平たく言って、バウト様まで降車すると斜面で脚がもつれるし、バウト様を置き去りにして登るわけにもいかないので、わざわざ降りなくても、とは思うのだけれど、そうもいかないようだ。


こう言った礼節というものはやはり、面倒だなーとは思うのだが、そんなことは李書文には許せるものではないので、憤慨する前世の記憶と、それを面倒と思うリーシアの感情が混ざって複雑だ。

こうして貴族社会の末端にぶら下がるリーシアとしても李書文の生きた清朝末期という時代はまた大変な社会だと思う。なにしろ1,000年にもわたる儒教という考え方が根付いた社会で他民族に支配されている。

それでも李書文は最初の弟子が皇帝の武術教師になるなど、貴族社会への馴染みはある方だ。


こう言ったしきたりを蔑ろにすれば、結局損をするのは自分だ。なにしろ自分の騎士という立場自体が既存のしきたりによって保証されている。

いくら面倒だと思ったところで、そこを忘れていてはただのわがままというものだ。

最低でもそこだけは踏まえておきたい。


つらつらそんなことを考えていたら坂は登り切り、降り始める。


斜面を降り切ったら皆それぞれ馬車にまた荷物を積み、それぞれの領地に戻す。


残った騎士、従士、従士見習い、徒で連れ立って城へと進む。中央の通りは賑わっていたけれども、バウト様一向の行列を見て、大慌てで道が開けられていった。

そんな大通りを露店を避けながらまさに練り歩いて城に登っていった。



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