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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

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第27話 敗戦の夜

レルムの軍勢が追撃してくるものの、もはや撤退するリーシアたちに追いつける速度では無くなっている。


もちろん油断はできないし、城門突破に失敗した敗走なので、大笑いするというのは不謹慎かもしれないけど、それでも笑わずにはいられなかった。


「あー、笑った笑った」


「お疲れ様です、リーシア様」というのはメルさん。


「援護射撃、ありがとう。フィルさんも支援ありがとう。

「キューちゃんもいつもありがとう。もちろん、ギーゼルヘル、クリムヘルトも心配かけたかな」


「いえいえ」


と、少しホッとした空気が漂う。流石にもう、深追いはしてこないとは思うけど、油断はできない。あとはまた砦に戻ってからのことになる。


進軍してきた時と違って、夕日に向かって坂を登るのはやっぱりつらい。それが敗戦の撤退ならなお。


先に潰走した歩兵隊に追いついてきたので、進行速度を落とす。このままでは日没までには砦に戻れないかもしれない。


歩兵の多くはリーシア、アドルフの隊とは異なり、盾や槍を持ってない。まあ、潰走だからこんなものだろう。とはいえこれでは、一旦砦に戻ったところで、体制を立て直して再攻撃というわけにはいかないだろう・・・。


日が暮れて、リーシアの隊は野営をしたが、敗走者たちのほとんどはそのまま足を引きずって歩いていってしまった。もはや野営をするだけの余力もないのだろう。手持ちの食料と水だけでなんとか砦まで辿り着こうというのか。


味方の部隊がほとんど撤退すると、ファイト様の部隊、アドルフ様の隊と共に馬車で道を塞ぐように野営する。水の補給も、焚き火を炊いたりもできないけれど、落ち着いて寝床につけるのは救いだ。


即応性の高いリーシアのワゴンを中央に、ファイト様とアドルフ様のワゴン、キャリッジを配置する。頭を先頭に向けて、起き上がっただけで対応できるようにしている。キューちゃんも馬車のすぐそばにうずくまる。


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一夜明けて、敵の襲撃がなかったことを確認する。残り少ない水を節約して、湿らせた布を回して皆で顔をぬぐう。

キューちゃんも目を覚ましたので、顔を拭いてあげると目を細めてうれしそうにないた。

そうしていると、ファイト隊、アドルフ隊の面々も目を覚まし始める。


「じゃ、キューちゃん、よろしく」


とお願いすると大きな羽ばたきを残して飛び立つ。

一応は追撃を警戒しないといけない。少人数の部隊を編成して、襲撃され、もしもファイト様に何かあったら敗戦どころの騒ぎじゃない。


しばらくしてキューちゃんが戻る頃には、全隊で出立の準備が整う。


偵察の報告を済ませ、またしんがりを務めていく。


昼前には夜通し撤退していた敗残兵に追いつく。

あまり茶化したり、厳しいことを言ってもつらいだけなので、できるだけ労ってあげる。ギーゼルヘルもクリムヘルトも一晩寝ているので、ワゴンを降りて特に辛そうな敗残兵を乗せてあげている。全員は乗せられないけれど、少しでも撤退速度が上がるならいいことだ。



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