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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

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第26話 大笑い

元々コルムに駐留していたレルム軍と言っても、総勢でそれほどの数はいない。ゾロゾロ出てきてはいるけれども、正直、総数でファイト軍の半分程度しかない。門破りの際の小競り合いで双方、数人ずつの死傷者を出している。


追撃に関して少し退いたところで潰走しているファイト軍の殿隊をリーシア、アドルフの隊で形成する。馬車を先行させつつ、弓兵、魔道兵が援護射撃をしているので、突破されて馬車を襲撃されないように、リーシアたち歩兵隊が壁を形成する。

アドルフ様には馬車隊の進軍指揮を任せている。こんな時もキューちゃんは賢く、アドルフ様の指揮に従っている。


リーシアの馬車はともかく、アドルフ隊や、そのほかの取り残された歩兵たち、従士たちの後退はそれほど速くない。彼らが砦に戻れるような支援が必要だ。


追手ももはや組織的な追撃はできない。数人が走り出しては、リーシアたちに転倒させられて味方の足を引っ張っている。

こうなってくると危険なのが、・・・、


来た!


追撃の騎士と、その従騎士だ。ここを抜かれるわけにはいかない。後方から駆け上がってくる馬蹄の音が響く。


リーシアの右側の方が道は開けているけど、騎士なら多分、左を抜こうとするはず。盾を持つ手を確かめ、槍をぐっと握る。


徒士かちはたのむ!」と叫んで、隊列から抜け左に出る。


駆け上がってくる騎士は盾をしっかり構え、騎槍をついてくるのでそれ縦で右にはらい、そのまま槍を振り回す。狙いは馬の喉元。突いては外しかねないので、思い切り打ち払う。


低く頭を下げて突撃していた馬は急に眼前に現れた槍に驚き、鼻面をしこたま打ち据えられてさらに馬首を下げた。


ここに思い切り騎槍を突き込んできた騎士の体が完全に前に放り出される形になり、前足が完全に挫けた。


直後の騎士はその落馬に巻き込まれる形で転倒するが、3騎目はかろうじてかわし、本来の務めを果たそうとする。


「させるか!」と、リーシアの右に出た騎士の脇を石突で突き込み、こちらも落馬に成功する。落馬した三人の騎士は路面に体を打ち付けて身動きができない。


が、油断はできない。軍馬たるもの、主人が落馬した程度で戦闘不能になったりはしない。先頭の二頭は無理としても、騎士を落としただけの三頭目は少し行き過ぎてからリーシア目がけて突進してきた。


「いい馬だ」と言いながら、槍を突き込む。


惜しい。敵ながら見事な戦いぶりだ。振り返れば、隊長らしい騎士がふらつきながら立ち上がるところだった。脇では二頭の馬がもがいている。先頭の騎士はどうやらそのもがきに巻き込まれてさらに負傷したらしく沈黙している。


歩兵戦闘では、騎槍は武器にならない。穂先と柄の釣り合いが悪いのだ。騎士は腰の剣を抜こうとするが、そこまで待っているほどお人好しではない。

さっさと仕留めたいところだが、騎士ともなれば捕虜にするのが常道。槍を振るって兜を打ち据え、気絶させる。


これでもう、ほぼ追撃は振り切ったと言えるだろう。


機を見たアドルフ隊の歩兵が駆け寄って、三人の騎士を素早く拘束する。


「よし!捕虜はとった!追撃ももうない。退くぞ!」と指示を出して、馬車に駆けていく。


なんだか腹の底から笑いたい気分だ!


「人質はそれぞれ別の馬車に乗せろ!」

と、指示を出し、リーシアはいつもの自分のワゴンに飛び乗った。


「あははははは!」

ついに決壊してしまった。

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