表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/180

第17話 村

翌日の偵察では、レルムの、と言っていいのか不明なほど、帰属がよくわからない村が見えると報告をした。山間の村はわずかな平地に作物を作り、幾ばくかの家畜がいる。おそらくレルムも、軍隊などを泊められるような余裕はないだろう。見つかった家屋は数棟。


レルムに察知された気配はまだないけれども、一旦村に入ったら、そこを拠点にするのだろうか。この村からさらに峠を越えないと、レルムには入れないそうなので、行軍としては文字通り峠だ。


ファイト様はどう判断されるのだろう。まあ、これ以上はリーシアの考えの及ぶところではないけれど、なんて思っていたら


「貴卿。卿はどう判断する?

「件の村、イストドルフにおそらく今日中に着くだろう。一旦そこを拠点にするか、さらにコルムに足を伸ばすか」


「恐れながら」


「うぬ。よい」


「偵察によれば、件の村はおよそ我らが礎にするには、よほど小さすぎるとのこと。ここはコルムに駒を進め、より盤石な支えをもとに掠めとるのがよいのではと愚考いたします」


と、ふりかえって

「どうか?」と幕僚に意見を求められた。


脇に控えた幕僚が

「よろしいのでは。イストドルフでは食料などを買い求め、即座に出立しましょう。

「その先に峠があります。峠の手前で宿営しましょう」

と、返した。


「相わかった」


ファイト様の馬車を辞し、自分のワゴンに戻って出立する。相変わらず殿ののんびり旅だ。


日が暮れるよりも前に村は通過し、村の外で宿営を始める。


翌朝はもう、早朝から出立を始める。キューちゃんの偵察では、どうやら山頂の砦にもう、レルムの兵士が入り始めているらしい。その旨を報告すると伝令が馬を走らせることになった。出発しようとした部隊の足も停められる。


急遽集まった部隊長が顔を突き合わせて軍議を始める。

偵察の報告がされ、峠道がレルムの砦によって事実上封鎖されてることが俎上にのぼる。このまま進軍しても峠で砦から攻撃され、ままならない。まずは砦の攻略が先決となってしまった。


とはいえ、おそらく峠を越えなければ砦に登る道はない。ウェスタヤルト側には断崖絶壁しなく、まず持って難攻不落と言える。


現実的には撤退が最良の選択になるけれども、今回の出兵理由から言って、敵が出てきたから退却しましたとはなかなかいかないだろう。


実際のところリーシアにしてみれば、リーシアが単騎でキューちゃんと共に空から襲撃すればひょっとしたら何とかなるかもしれないけれど、これだとリーシアが手柄を独り占めするし、危険を一人で被ることになり、ファイト様の手柄にならない。


何よりもこの部隊の中では一番下っ端でしかない。


じっと俯くことしかできない。


「恐れながら」と、昨日の参謀さんがおずおずと声を上げる。


「よい」とはファイト様。


「リーシア殿がグリフォンを持っておられます。そちらで砦を襲うのはいかがでしょうか」


「なるほど。アドルフ、貴公はこの策をどう思う?」


「は。確かにグリフォンならば空から砦は襲えますが、単騎というのはいかにグリフォンとて荷が重いのではないでしょうか」


「私もたった一騎では困難なのではないかと愚考します」というのはイムレさん。いろんな受け止め方ができる言い方だけど、言いたいことはよくわかる。とは言いつつも、リーシアとキューちゃんを使わなければ砦の攻略もまた、峠を越えてコルムに至ることも不可能なこともわかりきっている。


ではどうすべきか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ